安川電機が、次世代スマート工場「安川ソリューションファクトリ」(埼玉県入間市)の詳細を明らかにした(図1)。IoT(Internet of Things)による見える化・データ利用に加えて、人工知能(AI)やロボット、自動搬送機(AGV)などを活用し、自動化・省力化を追求。従来工場に比べて生産スピードと生産効率は3倍に、生産リードタイムは1/6に短縮したという。同社製の機器やソフトウエアを活用する次世代のモデル工場だ。

図1 安川ソリューションファクトリ
モーションコントロール事業部のマザー工場として主力製品「Σ-7」シリーズを製造する。IoTと自動化を駆使して生産性や製造リードタイムを従来に比べて大幅に改善した。 (出所:安川電機)
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ロボット30台、サーボモーター1000台が稼働

 安川ソリューションファクトリは、安川電機のモーションコントロール事業部のマザー工場として主力製品「Σ-7」シリーズの一部機種を製造する。延べ床面積は約7600m2で、1階はΣ-7のサーボモーター、2階が同サーボアンプの生産フロアだ。総投資額は約30億円で、2018年7月に本格稼働を開始した。

 月産能力は10万台。扱う製品の種類も約1000種類(モーターとアンプそれぞれおよそ400種類と600種類)と多いが、従来の工場に比べて生産スピードを高めながら最少ロット1台からという変種変量生産に対応するのが特徴。それを実現しているのが、「自動化」「見える化・データ活用」だ。

 自動化という点では、産業用ロボット約30台の他、コントローラー60台、サーボモーター1000台、インバーター30台を駆使し、「機器(コンポーネント)同士をつないでプロセスを統合した。各機器の自動化はこれまでも取り組んでいたが、工程間をつなぐと逆に生産性が落ちる場合もあった。しかし、(設備や生産状況の)データを細かく見て生産パターンを把握し、最適化できるようになった」(同事業部モーションコントロール工場長の白石聡氏)。

 例えば、サーボモーターの本体組立では、組み立て工程を幾つかの作業に分割した上で、産業用ロボットを使ったセルで自動化した(図2*1。1台のロボットに幾つもの作業をさせるとワークの機種変更に伴う段取り替えが複雑になる。そこで、「1つの自動化セルには複数の作業をさせないように、なるべく単作業に分割した」(同社)。

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図2 サーボモーターの本体組立ライン
ロボットを用いてほとんどの作業を自動化し、省人化と生産効率の向上を実現した(a)。(b)は組み立てを行っているロボット。〔(b)出所:安川電機〕

*1 サーボモーターは大まかにステーター組み立て、本体組み立て、エンコーダー組み立て、試験・検査・梱包という工程で造られる。各工程はさらに細かい複数の工程から成る。

 横に並べた自動化セルを貫くようにリニア搬送ラインが設けられており、ワークの乗ったパレットがタクトタイム45秒で搬送ラインを移動していく*2。各セルでは、生産計画に沿って流れてきたワークの機種に応じて、ロボットが自動で治具を持ち替えて作業する仕組みだ。

*2 タクトタイムの均一化と作業スピード向上を高めるという視点で最適化した結果、現在の作業分割とタクトタイムに落ち着いたという。

 この他、本体組み立ての前工程に当たるステーター組み立て工程では、コイルの巻き線や基板組み立てといった一連の作業を専用自動機やパラレルリンクロボットを使って自動化している。これによって本体組立ラインは、ワークの投入や検査などの一部作業を除いたほとんどの作業を自動化できた。従来9人いた作業者は1/3の3人で済むようになった。

 物流もAGVで極力自動化した。工場内には28カ所のAGVステーションがあり、現在18台のAGVが、ワーク搬送ラインなどがないライン間のワーク搬送や、倉庫から工場フロアへの供給部材の搬送、空箱の回収などを担っている(図3)。

図3 工場内を走るAGV
28カ所のAGVステーションを18台のAGVが行き来している。 (出所:安川電機)
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