日本の鉄鋼メーカーの次世代高張力鋼板の開発が新たな段階に入った。各社の開発目標は同鋼板の冷間プレス材において、1.5GPa以上の引っ張り強さと20%の伸び(成形性の指標の1つ)を両立することである。20%という伸びは、590MPa級の冷間プレス材の値に相当する。

 日本製鉄(旧新日鉄住金)など鉄鋼大手3社は2018年度末までに基礎研究において目標を達成。いずれも量産技術の開発に入った*1。世界の燃費規制が厳しくなる2021年以降に、自動車のボディー骨格への採用を目指す。

*1 鉄鋼メーカー3社は、新構造材料技術研究組合(ISMA)が主導する国家プロジェクトの一環で基礎研究を行ってきた。同プロジェクトにおいて1.5GPa級の強度と20%の伸びを両立する目標を達成し、2019年度から量産技術の開発を行っている。

 現在、量産車のボディー骨格には、軽量化と衝突安全に対応するため、高強度の高張力鋼板が多用されている。ボディー骨格用の高張力鋼板には、冷間プレス材とホットスタンプ(熱間プレス材)があるが、現在実用化されている冷間プレス材としては、1.3GPa級が最高強度である。マツダが新型セダン・ハッチバック車「マツダ3」のボディー骨格に採用した(図1)。

図1 新型「マツダ3」のボディー骨格
1.3GPa級の冷間プレス材を世界で初めて使用した。(マツダの資料を基に日経Automotiveが作成)
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 一方、1.3GPa級以上の強度が求められるボディー骨格では、ホットスタンプの採用が加速する。マツダ3の場合も、センターピラーには1.5GPa級のホットスタンプを使った。

 また、1.5GPa級のホットスタンプは、車両価格が安い軽自動車への採用も進む(図2)。ホンダの新型商用バン「N-VAN」やダイハツ工業の新型「タント」は、スライドドアの垂直方向のフレームに1.5GPa級のホットスタンプを使う*2

図2 新型「タント」のドア骨格
黄色のフレーム部分に1.5GPa級のホットスタンプを使った。(写真:日経Automotive)
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*2 スライドドアを採用した車両では、開口部を広くして乗り降りしやすくするため、センターピラーをなくす場合がある。ただ、同ピラーをなくすと側面衝突に対する安全性が低下するため、N-VANやタントではドアのフレームに高強度の高張力鋼板を使い、センターピラーの役割を代替させている。

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