沖電気工業(OKI)のメカトロシステム事業本部が、協働ロボットを活用して多品種少量生産ラインの自動化を進めている。主力工場のメカトロシステム工場(富岡工場、群馬県富岡市)では、2017年度から導入して作業者を1/6にするなどの成果を上げている。「通常の産業用ロボットは、大量生産には向いているが多品種少量生産には不向きだ。スピードは多少遅いものの、人が近くで作業していても安全でティーチングが容易な協働ロボットに着目した」(OKIメカトロシステム事業本部メカトロシステム工場生産技術部部長の白崎吉則氏)という。

2台同時稼働でスピードをカバー

 メカトロシステム事業本部は、ATM端末や発券端末などの開発・製造を手掛ける。それらの製品は、製品群によってモデル数も生産量も大きく異なる。そのため比較的大量に生産するATM端末などは専用の生産ラインがあるが、日産台数が1~15台程度の少量しか生産しない製品は混流生産している。

 その混流生産ラインでのねじ締めやはめ込み、ピン打ち、外観検査などの作業を自動化するのに導入したのが、協働ロボットを使った「自動組み立てシステム」だ(図1)。「組み立て標準時間の短縮という観点から、協働ロボットと人の組み合わせで作業の効率化を狙った」(同氏)という。

図1 2台の協働ロボットを使った「自動組み立てシステム」
可搬質量5kgの「UR5」を用いて、ねじ締め、部品の組み込み、ばねのはめ込みなどの作業をこなす。(写真:日経ものづくり)
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 同システムでは、デンマーク・ユニバーサルロボット製の協働ロボット「UR5」を、1システムにつき2台を使用*1。2台で1システムとしているのは、動作速度が遅いという協働ロボットの欠点をカバーするためだ。

*1 UR5の可搬質量は5kg。双腕の協働ロボットも検討したが、可搬質量が小さいことから単腕2台の組み合わせとした。

 2017年の導入以来、現在では3システム(1~3号機)が稼働している。増設するごとに機能が進化。中でも2018年度末に稼働開始した3号機の特徴は、組み立てなどを行うロボットを備えたシステム本体部の「共通モジュール」と、部材や工具を供給し、完成品の排出部を備えた「専用部」から成る点にある(図2、3)。取り扱う部材に応じて素早くロボットの動作プログラムを切り替えられ、作業効率が格段に向上したという*2

*2 同工場ではこれまでも、接着剤の塗布など品番数が少なくて生産量が多い作業の自動化を進めてきた。しかし、それらは作業工数のごく一部。工数全体の1/4ほどを占めるねじ締めやピン打ちなどは、製品が変われば部材も変わるため、段取り替えが発生して自動化が難しかった。

図2 自動組み立てシステムの構成
ロボットが作業を行う本体である「共通モジュール」と、部材や工具を供給する「専用部」から成る。品種が切り替わると専用部を入れ替える。(OKIの資料を基に日経ものづくりが作成)
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図3 自動組み立てシステムと専用部
共通モジュールに専用部をセットした状態(左)。専用部にはあらかじめ部材や工具を準備しておき、前の作業が終わったら入れ替える(右)。(写真:日経ものづくり)

 具体的には、共通モジュールの所定の位置に専用部をセットすると、共通モジュールのバーコードリーダーが専用部に置かれた部品供給トレーの裏にあるバーコードを読み取って動作プログラムが切り替わり、その品種・品番に合わせた作業をこなす(図4)。

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図4 プログラムを切り替えるためのバーコード
部品トレーの裏にバーコードが貼ってある(左)。共通モジュールのバーコードリーダーがこれを読み取るとロボットの動作プログラムが切り替わる(右)。 (写真:日経ものづくり)

 1つの品種・品番の部材の作業が完了すると専用部を取り外し、次に作業する専用部を取り付ける。専用部にはキャスターを付けてあるので容易に移動できる。こうした仕組みによって作業する品種の切り替えをスピーディーにした*3

*3 作業が終わると音声と信号灯で作業員に通知。作業員は指示に従って次の専用部をセットするだけでよい。

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