部品加工や装置開発・設計を手掛ける浜野製作所(本社東京)が2019年7月25日、同社が支援するスタートアップ企業の取り組みを紹介するなどの目的のイベント「スタートアップ交流会」を開催した。
スタートアップ企業2社がプレゼン
町工場が持つ技術や知識、経験を生かしてスタートアップ企業を支援する同社の施設「Garage Sumida(ガレージスミダ)」を会場に、2社のスタートアップ企業が自社製品のプレゼンテーションを披露した。
登壇したのは、人工知能(AI)を使った自動野菜収穫ロボットの開発を進めるinaho(本社神奈川県鎌倉市)と、スマートフォンで撮影した足の写真からその人に最適なインソールを3Dプリンターで製造するジャパンヘルスケア(本社東京)だ。この2社は浜野製作所が支援するほか、経済産業省が進める「ものづくりスタートアップ・エコシステム構築事業」*1への採択も決まっている。
スタートアップ企業が、製品の開発や量産化設計・試作の実証などを行う費用の一部を補助する事業。経済産業省が2019年に開始した。補助対象は、大学や研究機関で研究開発された技術を基に生活スタイルを大きく変えたり、社会の大きな課題を解決したりする、ソフトとハードを融合させたソリューションを提供する企業だ。補助対象となったスタートアップ企業は、スタートアップの開発・設計・試作・製造を支援する事業者(スタートアップファクトリー)などと連携して提供するソリューションの有効性などを実証する。
Garage Sumidaは浜野製作所が培った設計や製造のノウハウをスタートアップ企業の成果に役立てる取り組みで、2014年に開設した。2018年には経産省が同社を、スタートアップ企業を支援する「スタートアップファクトリー」50社の1つに選定*2。以来、Garage Sumidaはいくつものスタートアップ企業のサポートを続けてきた*3。
スタートアップの量産のための試作や設計をワンストップで支援する拠点。こうした拠点の構築を支援する「Startup Factory構築事業」を経済産業省が2018年に開始。浜野製作所はこのスタートアップファクトリーに選定された。
世界初の自動野菜収穫ロボットを開発
inahoはアスパラガスやキュウリ、ピーマン、トマト、ナスといった野菜をAIを使って全自動で収穫するロボットを開発・製作している(図1)*4。
ポイントはいずれも作物の1つひとつで収穫期の見極めが必要な野菜であるところ。ロボットはあらかじめ白いテープで示されたコースの上を全自動で移動。作物の収穫は、LEDでスキャンした画像を人工知能(AI)が解析し、収穫すべき野菜がどこにあるか、その野菜が収穫するに適した状態か否かを判断する。アスパラガスなら25cm以上の長さに育っていれば収穫時期と判断。ロボットハンドで野菜をつかみ、回転式のカッターが苗から切り離して収穫する。同社代表取締役COOの大山宗哉氏によれば、こうした収穫期の判別が必要な野菜の全自動収穫ロボットは世界初だという(図2)。
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