宇宙航空研究開発機構(JAXA)は2018年12月13日、小惑星探査機「はやぶさ2」が成し遂げた世界初の観測結果に関して会見した。はやぶさ2本体から9月21日に分離し、小惑星リュウグウ表面に降下・着陸させたkg級サイズの超小型探査ロボット2機で、小惑星表面を移動しながら観測するミッション「MINERVA-II1」を成功させたと発表した(図1)。

図1 「イブー(ローバー1A)」の模型を掲げる吉光徹雄・JAXA宇宙科学研究所准教授
初代MINERVAから超小型小天体探査ロボットの開発に関わってきた。
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ほぼ同型の2機が着陸・活動に成功

 今回降下させた超小型探査ロボット「ローバー1A/同1B」はほぼ同型で、搭載カメラなど若干仕様が異なる2機で構成する(図2)。それぞれ直径180mm、高さ70mmの正二十六角柱形状をしており、重量約1.2kg。内蔵したモーター駆動のはずみ車を回転させた反動トルクで本体を回転させて浮上し、リュウグウ表面をホッピング(飛び跳ね)して自律的に移動できる(図3)。太陽電池に光が当たると起動し、撮影とホッピングを行ってデータをはやぶさ2経由で地球に送信する仕組み。リュウグウの自転に伴って太陽光が当たらなくなると、動作を止めて休止する。

図2 ローバー1A「HIBOU(イブー)」(左)とローバー1B「OWL(アウル)」の模型
どちらも直径180mm、高さ70mmの正二十六角柱形状をしており、重量は約1.2kg。写真後ろは射出装置 (出所:JAXA)
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図3 ローバー1A/1Bの移動メカニズム
内蔵したモーターではずみ車を回し、その反動で生じるトルクを使って飛び上がる。初代MINERVAも同じアイデアの機構を有していた。
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 9月21日の着陸後、ローバー1Aは27ソル、ローバー1Bは10ソルまでホッピング移動と表面撮像データの取得に成功している。ソルは探査する星の1日のこと。リュウグウは7.6時間で1回自転しているので、1ソル=7.6時間となる。両機の着陸と観測の成功をJAXAは9月22日時点で速報していたが、両機が当初の目標にしていた7ソル以上の活動の成功を今回改めて公表。観測ミッションは完全に成功したといえる。これまでにローバー1Aは200枚以上、1Bは38枚のリュウグウ表面の画像を送信してきている。今回、このうち8枚の画像が新たに公開された(図4)。

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図4 ローバー1A「イブー」が10月26日に撮影した画像
(a)は静止中に広角カメラで撮影。太陽を見越し画像左側上半分に、比較的大きな岩が写っている。(b)はホッピング中に広角カメラで撮影した写真。(出所:JAXA)

 JAXAは今回の成功をうけ、ローバー1Aを「HIBOU(イブー:Highly Intelligent Bouncing Observation Unit)」、1Bは「OWL(アウル:Observation unit with Wheel Locomotion)」と命名した。それぞれフランス語の「ミミズク(Hibou)」と英語の「フクロウ(Owl)」にちなむ。

 なお、現状は両機とも搭載通信機器がデータを送信できるハイパワーモードに入らない状況だという。太陽電池に光が当たりにくい場所に入り込み、電力不足となっていると推測される。今後、小惑星リュウグウの季節の推移によって、十分な太陽光が得られる可能性もあるため、2019年1月以降も1週間に1回の割合で運用を行い、両探査車がデータを送ってくるのを待ち受ける。

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