従来、ベテラン作業者による目視に頼ってきた外観検査の自動化を考えている現場は多い。そこで、画像検査と人工知能(AI)の機械学習を組み合わせて、外観検査を自動化するソリューションが出始めている。しかし、ベテラン検査員並みの高精度な検査の実現は難しい。加えてコストがかさんだり、機械学習に大量の画像データが必要で手間がかかったりといった点が導入のハードルとなっている。そうした課題を、AI用の画像作りへのこだわりで解決しようという動きが目立つ。

ハード・ソフトの両面で最適化

 例えば、スタートアップ企業のロビット(本社東京)が開発を進めている自動外観検査システム「TESRAY」もその1つだ(図1*1。ロボットとAIを組み合わせたシステムで、照明とカメラを備えたロボットアームがワーク表面を撮影し、細かな欠陥を見つけ出す。

図1 ロビットの外観検査システム「TESRAY」
自社開発のロボットとAIを組み合わせ、従来は自動化が難しかった検査に対応する。
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*1 TESRAYは、2018年11月に組み込み技術の展示会「Embedded Technology 2018/IoT Technology 2018」(パシフィコ横浜)で、「ET/IoT Technology Award 2018」の「スタートアップ優秀賞」を受賞した。

 特徴は、外観検査作業に特化した自社開発のロボットシステムと、AIを活用した画像解析アルゴリズムを組み合わせ、そこに自社で蓄積した撮影ノウハウを組み込んだ点にある。熟練技能者並みの検査精度を確保したり、従来のシステムでは判別できない極小の傷の深さを推定したりできるという。

 現在、画像検査システムの手法は、パターンマッチングによるものが主流。この手法は指定した範囲において所定の形状の有無を判定するといったものが多く、形状が不特定形状でランダムに付着する微小なほこりなどは検出しにくい。そうした検査に対応すべく開発したのがTESRAYだ。「一般には手持ちの画像を機械学習させるが、当社は写真をどう撮るかというところから踏み込んで開発している」(同社取締役最高技術責任者の新井雅海氏)。

 特に、AIが良否や異物を判定しやすい画像を撮影するようにしているという。人間の見やすい画像が、AIも見やすいとは限らないため、AIが認識しやすい照明の当て方などを工夫した。ワークの色や形状に応じて照明の当て方を変えたり、フィルターを使ったりしてAI向きの画像を撮影した上で機械学習させ、実際の稼働環境でもそれを再現するのだ*2

*2 特殊なフィルターを使い、光の干渉によって撮影時のダイナミックレンジを上げているという。フィルターはワークの大きさに応じて使い分ける。

 これにより高精度な外観検査システムを実現できるという。例えば、自動車の樹脂塗装部品の外観検査を仮定して、ベテラン検査員が判定したサンプル40個(良品11個、ほこりが付着した不良品29個)をTESRAYで検査したところ、見逃しや過検出*3はなく「精度100%を実現できた」(同氏)(図2)。

*3 過検出 良品を不良品と判定してしまうこと。

図2 外観検査画面
自動車の樹脂塗装部品の検査したデモンストレーション画面。異常の度合いを定量的に評価している。ベテラン検査員と同等精度で良否を判断できる。(出所:ロビット)
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