植物の主成分であるセルロースから抽出した微細繊維状の材料「セルロースナノファイバー(CNF)」。この新材料の開発が実用化に向けて加速している。パナソニックはコードレススティック掃除機の新製品に軽量性を生かした構造部品として採用した。樹脂に混ぜずに、100%CNFで高強度の部品を造る企業もある。機能性材料としてCNFを使う試みも始まっており、その1つが電子ペーパーへの利用だ。

 課題ばかりが強調されがちな新材料の中で、ここまで開発に勢いがあるのは珍しいといえる。

量産家電製品は採用可なコストを実現

図1 パナソニックのコードレススティック掃除機「Power Cordless」
掃除機の本体部品にセルロースファイバー樹脂を利用した。(出所:パナソニック)
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 CNFを利用する上で大きな課題となるのがCNFそのものの製造コスト。木材をCNFへとナノ化し、樹脂中に分散してCNF強化樹脂を生産する「京都プロセス」の開発によって、製造コストの削減は進んでいるものの、まだ安価とはいえない。

 今回、パナソニックは京都プロセスなどのCNF関連技術を参考に、「2016年当時のCNFと比較すると1桁低い」(パナソニックの社内カンパニーであるアプライアンス社ランドリー・クリーナー事業部クリーナー設計課主任技師の堀部勇氏)*1コストのセルロースファイバー・フィラーを開発。これを樹脂に混ぜた「セルロースファイバー樹脂」をコードレススティック掃除機の新製品「Power Cordless」に採用して、2018年8月30日に発売した(図1)。

*1 セルロースファイバーの原料として、樹脂と相性の良い樹木を選んだ。

 パナソニックが採用したのは、nmオーダーからμmオーダーのセルロースファイバーをポリプロピレン(PP)に混ぜた複合材料。「繊維の中央値の長さがμmサイズになったため、CNFではなく、セルロースファイバーという名称にした」(同氏)。

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