インスツルメンツパネルなどの自動車部品の製造を手掛けるしげる工業(本社群馬県太田市)の本社で2018年8月2日、一風変わった新入社員研修が開かれていた(図1)。集まったのは設計や生産管理、品質保証など生産現場以外の部署に配属された23人。プロジェクターのプレゼンテーション資料に映し出しされていたのは、「カップホルダーに入れて使う、これまでにない付加価値を持つ製品の設計コンセプト」だ。2チームに分かれた新入社員らはデザインレビューで製品仕様や使い方などをプレゼン。その発表後、見ていたメンター*1が発表内容について質問し、発表者が回答する─。

図1 プレゼンテーションの会場
2チームがそれぞれ与えられた課題について、メンバーのアイデアや成果をプロジェクターで表示し、説明する。
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*1 メンター 研修を補助する中堅社員。

 同社は2018年から新入社員を対象とした新たな「ものづくり研修」を始めた。顧客のニーズを意識した企画書や構想設計書を作成したり、設備設計や治具制作、製作した設備での組み立てなど一連の「ものづくり」のプロセスを、現場に関わらない新入社員が、配属された部署の壁を越えて体験する研修だ(図2)。従来は配属された部署での現場研修しかなく、他部署の仕事の具体的な内容を知る機会がなかった*2

図2 従来の研修との比較
新たな研修では、企画から設計、製造まで関わることでものづくりの全体像を把握できる。部署間の連携もしやすくなる。従来の研修では、配属先での技術研修だけで、部署以外の業務知識を習得できなかった。また部署外の社員とのネットワークを築くのも難しかった。
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*2 研修のプログラムはXrossVate(本社東京)が作成。研修の運営もしげる工業と共同で行なっている。しげる工業はXrossVateのグループ会社O2(本社東京)に、TPMを進めるに当たってTPMのコンサルタントを依頼していた。

 生産管理部に配属された新入社員は、次のように話す。「製造現場実習は、現場の仕事の重みを体感できる。ものづくり研修は、顧客の要望に配慮して企画を立て、設計するといったものづくりの流れが一通り見えるので、今後の仕事の参考になると思う」

 同社社長の正田敦郎氏はものづくり研修の意義について、「前工程から後工程まで含めてものづくりの全体像を理解し、生産現場以外の部署の新入社員が配属後の自分の立ち位置を把握できるようにする。部署間で連携しやすい体制を作りたい」と話す。

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