超小型人工衛星ベンチャーの創業メンバーでCTO(最高技術責任者)。世界トップクラスと自負するコスト競争力を武器に「早く造って、すぐ打ち上げる」新世代の宇宙ビジネスの実現を目指す。優れた加工技術に恵まれ、部品入手も容易な日本は「宇宙ビジネスに向いている」と話す。(聞き手は山田剛良、高市清治)

写真:加藤 康

 当社のビジネスは2つの柱があります。1つは小型人工衛星の設計・製造です。顧客の要望に合った専用の人工衛星を造り、打ち上げのアレンジメントや打ち上げ後の運用も手掛ける。言わば、小型人工衛星活用のワンストップサービスです。2008年に創業し、これまで5基の人工衛星を製造して打ち上げました。天気予報で知られるウェザーニューズ(本社千葉市)や宇宙航空研究開発機構(JAXA)などから受注し、両者の専用人工衛星を製造して打ち上げています。東京大学が主導し、内閣府の最先端研究開発支援プログラムの支援を受けた「ほどよしプロジェクト」では、「ほどよし1号機」の開発に参加しました。

 ウェザーニューズ向けには、北極海域の海氷の観測を主な目的とした超小型衛星「WNISAT-1」と「WNISAT-1R」を開発・運用しています。北極海の海氷を監視して、船舶の安全運航を支援するサービスに活用しています。独自衛星を持てば、他社には提供できない付加価値の高い情報を得られるのです。

 JAXAの超小型衛星「RAPIS-1」は、国内の民間企業や大学、研究機関が開発した超小型・省電力GNSS受信機など7種の人工衛星用コンポーネントを搭載。実際の宇宙環境で動作検証しています。宇宙線を浴びる真空状態などでの動作を調べ、そのデータを今後の宇宙機開発に生かすプロジェクトです。

 もう1つの柱は当社が打ち上げた小型人工衛星を活用した地球観測事業の「アクセルグローブ」。こちらは2019年5月31日にサービスを開始したばかりです。分かりやすい言葉で言うと人工衛星から撮影した地表の画像データや解析データの提供サービスです。

 同事業向けに2022年までに約50基の人工衛星を打ち上げて、地球全土を毎日撮影できるシステムを構築する予定です。そうなれば地球上の全ての場所で365日の変化が分かるようになります。気象予想や農業の最適化などに活用できます。顧客が所有する不動産や設備の監視、山岳地帯や離島のように人が足を踏み入れにくい場所の定点観測も可能です。

 製造や運用に要するコストを負担して専用の人工衛星を所有するまでにはいかないが、衛星画像のビジネス活用はやりたい─。こういった企業のニーズは高いのです。始まったばかりのサービスではありますが、大きな可能性を秘めていると自負しています。当社の提案の範疇だけでなく、顧客が自ら新たなビジネスを生み出す基盤になっていくと考えています。

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アクセルスペースが打ち上げたほどよし1号機から撮影した地表面の写真。上左からリビア砂漠(リビア)、ハックスタン(米国)、クラークフィールド(米国)、下左から死海(イスラエル・ヨルダン)、ドバイ(アラブ首長国連邦)、ニジェール内陸デルタ(マリ)。(出所:アクセルスペース)

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