AR(拡張現実感)やVR(仮想現実感)は、10数年以上前からある言葉だ。初期のARは例えば、スマートグラスの視野に時刻などが表示される技術。VRは現実とは切り離された仮想空間に没入して仮想のコンテンツ、例えばゲームを楽しむ技術だった。最近はこれらの技術が急速に発展し、近い将来の我々の生活を大幅に変える可能性が高まっている。

 ただ、従来のARやVRのイメージや定義のままでは、その潜在力を十分には伝えきれない。そこで、ARとVRの定義を本誌がアップデート、つまり整理し直した(図1)。

図1 ARとVRの違いは“向き”の違いにすぎない
ARやVRの新しい“定義”と、それらが放送や通信技術を基に融合した場合に実現する世界を示した。最近のARは仮想空間のコンテンツが利用者のところへ“来る”技術、VRは利用者が仮想空間へ“行く”技術と理解できる。今後の用途では、リアル空間と仮想空間の間を“行き来”することが増えるため、ARとVRを区別する意味は薄れる。こうした技術と、5Gなどの放送・通信技術が融合すると、離れたリアル空間をVRで飛び越えたり、狭いライブハウスの収容人数をほぼ無限大にしたりする。重力のような物理法則にも縛られない、空間を自由自在に操れる「空間コンピューティング」が実現する。
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 ARは、仮想空間のコンテンツがリアル世界に「来る」技術。意図的にコンテンツを「呼び出す」場合もありそうだ。一方、VRはリアル世界から仮想空間に「行く」技術であるといえる。

 従来の定義との大きな違いは、どちらも「空間」を強く意識している点だ。視野の右横に時刻が表示される従来のスマートグラスのARは、空間との関係が薄かった。一方、最近のARでは、仮想的な時計でもリアルの部屋の特定の壁に貼り付けられる。空間、特に位置や向きが重要になるわけだ。

 VRも今後は、どの仮想空間を選ぶか、そしてその仮想空間のどこに行くかといった視点が重要になる。

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