現状のアシストスーツの主流となっているエクソスケルトン(exoskeleton、外骨格)が発展する方向性の1つに、人間では出し得ない超パワーを行使する「パワードスーツ」がある。パワードスーツを装着すれば、災害復旧現場で巨大ながれきを除去したり、普通ならクレーン車や複数人数で移動させるような重く大きな建設部材を運んだり、生身の体では到底持ち上げられない重量物を取り扱えるようになる。アシストスーツが人の力と機械の力が一緒になって動いて作業を楽にするのに対し、パワードスーツは人が機械の力を操って“超人"になるものだ。

操縦気分はまるで“ガンダム”

 超人的なパワーを発揮するのは、人間サイズのパワードスーツに限らない。人気アニメ「機動戦士ガンダム」に登場する巨大ロボット「モビルスーツ」のように、大型ロボットを操縦するタイプのパワードスーツが登場する可能性もある。

 実際に、遠隔で操作できる大型ロボットを開発している企業がある。人機一体だ。同社が開発中の大型ロボットは遠隔操作型で、上半身部分の「MMSEBattroid」と、下半身部分の「パワーペダル」に分かれる(図A-1)。それぞれが高さ約2mで、上半身と下半身を組み合わせると約4mの巨大ロボットになる。

MMSE:Man-Machine Synergy Effector、人間機械相乗効果器

(a)上半身側の「MMSEBattroid ver.1.2」
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(b)下半身側の「パワーペダル ver.4.2」
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図A-1 身体の制約解き放つ高さ4mの「人型ロボ」
人機一体が開発中の遠隔操作(マスター・スレーブ)人型ロボットの上半身部分「MMSEBattroid」(a)と下半身部分「パワーペダル」(b)。(a)と(b)を組み合わせると、高さ約4mの巨大ロボットとなる。ロボット頭部に2つのカメラがあり、離れた場所からVR用HMDを用いてロボットの視点映像を見ながら操縦できる。パワーペダルは3点接地によって安定性を確保した。

 操縦装置に乗り込むと、操縦席からの眺めはまさに巨大ロボットのコックピットだ。VR(Virtual Reality)用ヘッドマウントディスプレーをかぶれば、ロボット視点の映像が目の前に広がる。ロボット頭部にある2つのカメラで両眼立体視を実現し、より正確に周囲の物体との距離感を把握しながら操縦できる。

 しかも、力覚フィードバックに対応していて、ロボットの腕にかかる力や腕の動きが操縦装置へ反映され、細かい動きの制御を可能にしている。他の遠隔操作ロボットと比べて操縦装置を非常に大きくしたことで、出力の大きなモーターなどを使用でき、操縦者にとって力覚フィードバックが分かりやすくなるので、ロボットの繊細な動きを操縦者に伝えられる。ロボットの手にチェーンソーを付ければ、太い丸太の輪切りも可能だ。

パワーペダルで姿勢制御をロボットに一任

 下半身部分のパワーペダルは、3点接地によって安定性を確保して、2足歩行が可能な機構を備えた。同社が、高度な制御が必要な2足歩行にこだわる理由は、人が操縦するロボットにおける、人の繊細な動作を再現しやすくするためだ。

 何らかの動作をする際、人は無意識にバランスを取っている。例えば、人が力を込めて行う動作では、足の踏み込みや軸足の位置などが力の入り方を左右する。上半身を支えるにも、体幹や足腰を使って自然と体の重心を整えている。人が自分の身体のように動かすことを目指すMMSEBattroidでは、2足歩行でバランスをとる部分まで再現しないと、人が思い通りの能力を発揮できない可能性がある。既に自動バランサーとなる姿勢制御システムは実装済みで、姿勢制御を自動化してロボットに任せられれば、人は動作のための操縦に専念できるようになる。

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