5G(第5世代移動通信システム)スマホを構成する主要デバイスで、4Gまでと大きく変わるのがRF(無線周波)部品だ。トランシーバーICやRFフロントエンド、アンテナなどである。スマホ向けで実績のある大手メーカーは、CMOS化と高集積化でさらにコスト競争力を付けている。一方、アイデアで回路規模を削減しコストを低減する技術も出てきた。

 5G(第5世代移動通信システム)以降、スマートフォン技術は、あらゆる分野に浸透していく。象徴的な機器は基地局だ。当初は基地局専用技術も採用される見込みだが、普及するにつれコスト競争力に勝るスマホ技術が優位になる可能性が高い。

 5Gでは、4Gまでと比べて、スマホと基地局に求められる仕様の差が縮まる(図1)。スマートフォンから基地局に送る上り回線と下り回線のデータ伝送速度が、いずれもGビット/秒級と高速である。4Gまでなら、データをダウンロードする応用を見込んで下りが速い。スマートフォンは受信、基地局は送信を重視しており、双方には大きな違いがある。

図1 スマホが多様な分野に浸透、コストがいっそう重要に
5Gでは、4Gまでと比べて、基地局向けなどのインフラ設備にスマートフォン(スマホ)技術を応用しやすくなる。スマホ技術は、インフラ以外に他の応用分野にも使われる。インフラや産業機器の通信モジュールでもコスト競争が激化しそうだ。
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 5Gでも基地局は多数のスマホを相手にするため負荷は大きい。しかし、10台のスマホと通信する基地局には10台のスマホに相当する能力があればよい。スマホのハードウエアを10個搭載すれば同等といえる。

 事業者にとっても基地局の“スマホ化"は都合が良い。5Gの基地局カバー範囲が狭くなれば、より多くの基地局を設置する必要がある。従来と同様の基地局を設置していては設備投資がかさみ採算が取れない。年間10数億台規模の市場が既に存在し、当初から大量生産されるスマホ向け技術を使えば、圧倒的なコスト競争力が見込める。実際、国内第4の通信事業者として2019年10月にサービスを開始する楽天モバイルネットワークがケタ違いに安い設備投資で5Gを導入できる一因には、スマホ技術の転用がある(第1部「あらゆる業界に溶け込む、産業分野の秩序を破壊」参照)。

 ユーザー端末側と基地局側の双方に入り込むスマホは、そのコスト競争力を強みにさまざまな分野で「破壊と創造」を巻き起こしそうだ。その意味で5Gスマホ技術は、これまでのようなカスタム仕様の産業向け通信機器市場を一掃する可能性を秘めている。

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