華為技術(ファーウェイ)の実力を裏付ける指標に特許がある。同社や、同じく中国の通信機器メーカーである中興通訊(ZTE)は、国際特許出願件数で長年にわたって上位を占めるなど、知財戦略にも力を注ぐ。従来は主に特許訴訟の“訴えられる側”だった両社が、今後は“訴える側”に回ることも増えそうだ。 (本誌)

 世界知的所有権機関(WIPO)によれば、2018年に特許協力条約(PCT)に基づく国際特許出願(以下、PCT出願)の件数が最も多かったのは華為技術(Huawei Technologies、以下ファーウェイ)、次点は中興通訊(ZTE)と、いずれも中国の情報通信関連企業だった(図1)。情報通信関連企業では他に米Qualcomm(クアルコム)やスウェーデンEricsson(エリクソン)もトップ10に入っており、この分野で特許権利の獲得競争が激化している状況がよく現れている。

図1 中国企業がPCT出願件数で上位に
2018年のPCT出願件数。ファーウェイが1位、ZTEが2位と、中国の情報通信関連企業が上位を占めた。7位の京東方科技集団(BOE Technology Group)を含めて上位10社のうち3社が中国企業である。情報通信関連企業では5位にQualcomm、10位にEricssonが入っており、この分野で特許権利の獲得競争が激しくなっていることが分かる。(データの出所:WIPO「WIPO IP Facts and Figures 2018」)
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 2014~2016年はトップ3が順にファーウェイ、Qualcomm、ZTEだった。2017年はZTE、ファーウェイ、Qualcommと順位が入れ替わり、2018年にQualcommがトップ3から脱落したことになる。情報通信分野という激戦区の中でファーウェイとZTEが2強として定着しつつあることが分かる。

無線通信以外も手広く

 両社は、2000年代後半にPCT出願に力を注ぎ始めた(図2)。そのうちファーウェイが攻勢に転じたのは2006年である。以降2014年までほぼ毎年のように出願件数を増やしてきた。近年はやや減ったが、それでも年4000件ほどの出願を継続している。

図2 2000年代後半から出願を加速
ファーウェイは2006年、ZTEは2009年からPCT出願件数を増やした。(各種資料を基に筆者が作成)
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 ZTEは、ファーウェイよりも少し遅れて、2009年から2010年にかけて出願件数を大幅に増やした。特に2010年は、ZTEのスマートフォンの売上高が前年比約50%増と急成長した年でもある。事業の拡大に伴い出願件数も増加したと考えられる。

 次に2010年以降のPCT出願および世界の各地域での出願を見ると、ファーウェイの総出願件数は約10万3000件、ZTEは約6万2000件である。ZTEの売上高はファーウェイの1/5弱なので、企業の規模を考慮すればZTEは特許出願で健闘しているといえる。

 両社の特許出願を技術分野で分類すると、主力事業である無線通信分野の比率は全体の約1/3にとどまっていた。無線通信分野以外では、電池の充放電に関する出願が目を引く。特に携帯端末やBluetooth機器の充電技術に関するものが多い。

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