世界の「電気自動車(EV)シフト」に押されて風前の灯だという見方もあった燃料電池車(FCV)。実際には、特定の用途で市場が急激に立ち上がりつつあり、慌てた日本のメーカーが後追いする事態になっている。今後、どのような用途で実用化が進む可能性が高いのか。一般には競合技術とみられているLiイオン2次電池(LIB)との比較から、共存共栄の道を紹介する。

 ここ1~2年、Liイオン2次電池(LIB)、およびLIBを搭載した電気自動車(EV)が社会的な脚光を浴びる中、2次電池を開発する技術者や研究者の間に、燃料電池(FC)や燃料電池車(FCV)はもう行き場所を失ったという見方が広がった。しかし、その見方に反するようにFCの利用が急激に広がり始めている(図1)。それは、既存の2次電池では実現が難しい要求条件がある用途だ。そのなかには、2次電池を使っていた車両の電源をFCに切り替える動きさえ出てきている。

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図1 燃料電池が盲点だった用途で離陸へ
燃料電池(FC)の利用が急速に広がっている用途、または広がる可能性の高い用途を示した。(a)のフォークリフトはトヨタグループ製を含む既存の機種で、米Plug Power製のFC電源を搭載し、2017年に米Amazon.comや米Walmartに大量導入が始まった。トヨタグループは、2018年にFCフォークリフトを開発し、愛知県豊田市のトヨタ自動車の元町工場に20台試験導入した(b)。専用水素ステーションも設置した。ドローンは現在のLiイオン2次電池では規模によらず15~30分ほどしか連続飛行できないが、FC電源なら2時間飛べる機種も出てきた(c、d)。FCバスは中国を筆頭に導入が進んでいる(e、f)。日本でも東京駅とお台場間の路線で5台のFCバスが運行している。セブン-イレブンはトヨタ自動車製のFCV、米FedEx ExpressはPlug Powerと米Workhorseが共同開発したFCVを配送用に試験運用している(g、h)。列車の未電化率が高いドイツでは、電線を引くより低コストだとして、従来のディーゼル列車をFC列車に代替する動きが始まった(i)。(写真:(a~d)と(f)、(i)は各社。(h)は、Plug PowerのWebサイトから)。

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