熱設計において、対流と熱放射の理解は極めて重要である。熱を外部へ逃がすには、周囲の空間への放出、すなわち対流や熱放射が不可欠であるためだ。これらは熱設計の要所であり、効果も大きいが、部材や構造の規模が大きくなりがちで、後付けでの調整が難しい。従って、熱設計の初期段階で十分な検討が重要である。

 まず対流だが、これは単一現象ではなく、「熱伝導(熱源から周囲にある流体へ)」と「流体の物質移動による熱輸送」の複合現象である(図1)。熱伝導では、熱流量は熱伝導率に依存する。これは物性値で材料ごとに決まるので、値を得ることは容易だ。しかし、物質移動による熱輸送は物質の運動を含むため、解析が容易ではない。一般には対流による熱流量は以下の式で計算できる。

 熱流量=対流熱伝達率×物体表面積×(表面温度ー流体温度)

図1 対流は「伝導+物質移動」の複合現象
対流とは熱伝導と物質移動による複合的な熱移動現象である。流体が移動して活発に熱を運ぶ。この流動がなければ熱伝導になる。対流の熱の伝わりやすさは熱伝達率で表される。
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 ただし、上式の熱伝達率は状態値であり、非線形性がある。このため、実験によって値を求めるか、数値計算で近似解を求めるしかない。ここでは解析方法には踏み込まず、現実的な問題に取り組むこととする。

問題D 対流○×問題

下記の記述のうち、正しいものには○、誤ったものには×をつけよ。

1:自然空冷の発熱体では、発熱体の発熱量を2倍にしても温度上昇は2倍にならない(10WでΔT=10℃の発熱体の発熱量を20Wにした場合、ΔT<20℃である)

2:大きさ100mm×50mmの一定発熱の等温ヒーターを、高さ方向50mmにして垂直に置いた場合と、高さ方向100mmにして垂直に置いた場合とでは、高さ50mmにした場合の方が、温度が低くなる

3:水平に置いた自然空冷ヒーターと、これに10度の傾きをつけて置いた場合とでは、後者の方が、温度が下がる

4:風速1m/sで冷却している部品が、表面温度上昇20℃になっている。風速を2m/sにすれば、この部品の温度上昇は10℃にすることができる

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