身体に装着して重量物の積み下ろし作業などを助けるアシストスーツ。本格的に導入された例はまだ少ない中、採用が相次いでいる製品が現れた。松下電器産業(現パナソニック)の社内ベンチャー出身であるATOUN(旧アクティブリンク)の「ATOUN MODEL Y」である。同社の藤本社長に、アシストスーツ業界の動向や、同社の戦略について聞いた。 (聞き手=松元 則雄)

藤本 弘道氏(ふじもと・ひろみち)
1997年に大阪大学大学院修了後、パナソニック入社。2003年にパナソニックの社内ベンチャーファンドでATOUN(アトウン)を創業。以来、重作業支援向けや汎用のアシストスーツの事業化を推進。(写真:日経 xTECH)
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 アシストスーツの普及には2つの課題がありました。中小企業には厳しい導入コストと、分かりにくい費用対効果です。こういった状況をようやく克服できそうなめどが付きました。2018年に発売した当社の「ATOUN MODEL Y(MODEL Y)」はリースで提供できます。4年間のリースの場合、1カ月当たりの費用は約2万円。この場合、1日8時間、20日間利用するとして1時間当たり約125円で利用できます。

 想定用途は積み下ろしなどに従事する作業者の腰の負担の軽減です。その場合、2割以上の作業効率の向上を確認しました。1時間当たり125円のコスト増をどう捉えるかは企業次第ですが、当社としては、ようやく費用対効果のバランスが取れる製品を提供できると思っています。出荷数が多くなればさらに価格を下げられるため、普及に弾みがつくと考えています。

 MODEL Yは、2018年の7月末に発売して、11月までに140台ほど売れています。そのうち約110台は納入済みです。2018年度内の販売目標は300台。海外展開がうまく進めば400台を見込んでいます。製品価格は約70万円(導入費と2次電池込み)。MODEL Y単体でみれば十分に採算は合う状況です。しかし会社としては、他の製品や新技術の開発にかかる費用がありますからまだまだこれから。ようやく第一歩といったところです。

 MODEL Yが当社で初めての普及モデルになります。欧州での展開を見越して、生活支援ロボットの安全性に関する国際規格「ISO13482」を2019年1月に当社の製品としては初めて取得しました。

 現在、重量物を持ち上げる時に腕をアシストする機能を開発しています。MODEL Yに追加できる形で提供する予定です。新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の支援によって、要素技術の開発はほぼ完了。2019年に、一部の顧客の現場で実証実験を予定しています。

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