調査会社によるライブ配信アプリの2018年売り上げ調査で1位を記録したライブ配信サービス「SHOWROOM」。2013年から同サービスを手掛けてきたSHOWROOM CTO(最高技術責任者)の佐々木康伸氏は、次に注力する事業としてVRを挙げ、ユーザーが身にまとう3DCGで作られたアバターが普及した未来の社会に注目している。同社がなぜVR事業に取り組むのか、VRやアバターにおける将来の展望について佐々木氏に聞いた。 (聞き手は東 将大=日経 xTECH)

佐々木 康伸氏(ささき・やすのぶ)
2010年、DeNAに入社。「Mobage」(モバゲー)の開発・運用や、音楽アプリ「Groovy」の開発に携わる。2013年にSHOWROOM代表取締役社長の前田裕二氏と配信サービス「SHOWROOM」を立ち上げ、2015年にDeNAから分社化。2018年からバーチャル事業を本格的に進める。(写真:日経 xTECH)
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 ライブ配信サービスのSHOWROOMがなぜVR(Virtual Reality)事業をやるのかとよく質問されます。その理由は、ユーザーが次に求めるであろう新たな表現方法を探していて出会ったのがVRだったからです。

 現在のライブ配信サービスは、映像表現の限界に到達していると思います。最近のアプリやコンテンツでは、初めてスマホに触れたときのようなインパクトが薄れてきたと感じます。現状でもユーザーが困ることはないですが、そこで満足しないのが人間の本質です。私の場合、2013年春に登場した米オキュラスVR(Oculus VR)の開発者向けVR用ヘッドマウントディスプレー(HMD)「Oculus Rift DK1」を体験して、斬新さと面白さを感じ、これだと思いました。

 SHOWROOMでは、配信サービスを開始した翌年(2014年)には既にVR事業に取り組んでいて、少しずつ投資もしていました。2016年には「SHOWROOM VR」というサービスを提供し始めました。360度映像のライブ配信と、スマートフォン(スマホ)向けHMDによる360度映像の視聴ができるサービスです。2017年には4K画質の両眼立体視可能なVR映像のライブ配信にも対応しました。

 VR事業はSHOWROOMの重要な柱の1つだと認識していますが、VRだけに突出することはありません。それよりも、サーバーやインフラなど約5年間配信サービスを運用してきたノウハウをVRと組み合わせていけるのが強みです。今後は配信サービスとVRの両方を伸ばしていく予定です。

 VR事業に関して言えば、世にある要素技術を使ってサービスを作り、ユーザーに届けることに注力していきます。その際に、特に注目しているのはVTuber(バーチャルYouTuber)と呼ばれるデジタルキャラクターの存在です。VTuberは主に動画配信サイトを活動の場としていて、2次元または3次元(3D)のCGで作られたアバターの姿で活動しています。SHOWROOMでも既にアバターの姿でライブ配信をしている配信者が複数います。VTuberの活動は、VRやモーションキャプチャー、3Dモデリング、アニメーション作成、動画編集、ライブ配信など、様々な技術が組み合わさって成り立っています。VTuberのように既にそろいつつある要素技術を使った表現の幅を広げて、新しい機会の場を提供するのが私たちの大きなミッションです。

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