あらゆるデータを光信号のまま一気通貫でやり取りする「オールフォトニック(全光)ネットワーク」。途中で電気に変換し、スイッチングなどの処理を施して、また光に戻すといった工程(OEO変換)が不要になることから、高速化や低遅延化、低消費電力化といった性能向上が見込まれます。

 そんな究極の光ネットワークをコアとする未来構想が動き出しました。NTTは10月31日、「ポストインターネット」「ポスト5G」を見据えた「IOWN(アイオン)」(Innovative Optical & Wireless Network)を、米Intelやソニーとともに推進していくことを明らかにしました。この3社が発起人となってオープンな業界フォーラム「IOWN Global Forum」を立ち上げ、メンバーの参画を募り、2030年のフルサービス提供に向けて技術仕様などを検討していくとのことです。

 IOWNにおけるオールフォトニックネットワークは、装置同士をつなぐ「伝送」のみならず、チップ間やチップ内のコア間の「配線」および「信号処理」まで光化するという極めて挑戦的な目標を掲げています。だからこそ、Intelやソニーという光デバイスの知見を持ったメーカーの協力が必要になったのでしょう。

 気になるのは、IOWN Global Forumにメンバーとして参加する側のモチベーションです。会見では「次のインフラサービスを牽引する議論に加わることで自社の考えを反映できる」「技術仕様をいち早く知れる」との説明がありました。確かにメリットといえますが、そのためには特許の扱いを早期に明確化する必要があります。例えば映像符号化方式の分野では、特許料の有無や特許権利者団体の存在が大きく影響して、H.265からAV1への「主役交代」が起ころうとしています。自動車業界ではトヨタ自動車が電動化技術に関する特許実施権の無償提供と技術サポートを含む部品・システムの提供をこの4月に決めました。フォトニックネットワーク関連の膨大な技術を保有するNTTが、同フォーラムで知的財産権(IP)の取り扱い方針をどう打ち出すか、大いに期待するところです。

出典:日経エレクトロニクス、2019年12月号 p.9
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