日本の5Gは世界の中で遅れている─。こうした声がよく聞こえてくるようになりました。確かに海外からは「100万」「100機種」「100カ国」といった具体的な加入者数や端末数を誇らしげに示す発表が目につきます。例えば韓国最大の携帯電話事業者であるSK Telecomは同社の5Gサービス加入者が100万人を超えたと発表しました。また、グローバルモバイルサプライヤー協会(GSA)が2019年8月にアップデートした最新調査「5G Devices Ecosystem‐August 2019 Update」では、既に100種類もの5G端末がリストアップされていました。このほかGSAは別の調査で、試験やトライアルといった限定的な形の取り組みを含めると、既に世界100カ国/296事業者が5Gを実施していると報告しています。

 さて日本はというと、まさに今からプレサービスが順次始まるといった段階です。加えて総務省が2017年度から実施している総合実証試験も令和元年度の内容がこの9月に確定し、日本各地で検証が始まります。いずれもオンスケジュールですが、BtoCの目線では海外との差を感じざるを得ません。

 一方、BtoBの目線では、国レベルの取り組みとして日本ならではの「ローカル5G」が動き始めています。5Gを利用して地域ニーズに基づく比較的小規模な通信環境を構築する制度のことです。ローカル5Gでは構築の主体が携帯電話事業者から企業や自治体などへと移ります。いわゆる自営網を構築することになるので、海外での取り組みは「プライベート5G」と呼ばれています。日本でも4Gを利用した「プライベートLTE」があります。ではなぜ「プライベート5G」ではなく、「ローカル5G」となったのでしょうか。理由の1つは免許の割り当てを、建物や土地の所有者を基本とする方針が打ち出されたことにあるのでしょう。総務省はトップが率先して地方の抱える様々な課題を解決する手段として5Gの活用を折々でアピールしてきました。ローカル5Gの実現は、まさに「地に足のついた5G」として期待しています。

出典:日経エレクトロニクス、2019年10月号 p.9
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