平成も終わりとなる4月、5G(第5世代移動通信システム)の周波数がNTTドコモ、KDDI/沖縄セルラー電話、ソフトバンク、楽天モバイルの4グループに割り当てられました。具体的には「3.7GHz帯」「4.5GHz帯」「28GHz帯」からの10枠です。

 周波数の割り当ては移動体通信サービスを提供する事業者にとって最も重要な経営課題であり、インフラの投資計画を左右します。それは、通信方式の世代が進んでも変わることはありません。ただし、周波数の高低で言えば、これまでは低い周波数の方が重宝されていました。以前のソフトバンクモバイルは、アナログテレビ放送の終了に伴う電波の再編で割り当てられた900MHz帯のことを「プラチナバンド」と称して、大々的にアピールしていました。

 一方、5Gならではの周波数として注目を集めているのは最も高い28GHz帯です。よく「ミリ波」と呼ばれています。しかし本来のミリ波は30G~300GHzの周波数であり、厳密に分類するなら28GHz帯はセンチ波(3G~30GHz)になります。でも5Gを手掛ける事業者やメーカーは「便宜上」と断った上で28GHz帯をミリ波に含めています。

 そこには「ミリ波なら超高速大容量」を印象付けたいという業界挙げての強いメッセージが込められています。知られているように、5Gでは革新的な無線通信技術が投入されたわけではありません。となると、より広い帯域幅を確保できる高い周波数の方が高速大容量化に有利となります。実際、日本の5Gをけん引する5GMF(第5世代モバイル推進フォーラム)の総合実証試験では、超高解像度の8K映像伝送や平均4G~8Gビット/秒伝送の実験には28GHz帯(帯域幅800MHz)が使われています。

 ミリ波通信と言えば、HD動画の無線伝送(WirelessHD)や無線LAN(IEEE802.11ad)として実用化済みですが、普及には至っていません。業界にとってもまだまだ未開拓の領域であり、それだけに期待も大きく、技術開発と実用化が一気に進むでしょう。令和元年はミリ波元年になりそうです。

出典:日経エレクトロニクス、2019年6月号 p.9
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