新年度が始まり、次の元号も決まって、新しい時代の息吹を強く感じています。振り返れば平成の30年間は電子情報通信技術の急速な進化が破壊と創造をもたらした時代でしたが、これからの令和の時代も間違いなくそうでしょう。特に、モビリティー(航空機)とエネルギー(電力)の業界でそれが起こりそうです。というのも両業界には、約30年後の2050年をゴールとした明確な目標があるからです。

 航空機業界には今、電動化の波が押し寄せています。宇宙航空研究開発機構(JAXA)が中核となって2018年7月に立ち上げた「航空機電動化(ECLAIR)コンソーシアム」は2018年12月公開の「将来ビジョンver.1」にて電動化の開発目標や技術課題などをまとめました。それを受けて、同コンソーシアム代表でJAXA 航空技術部門 次世代航空イノベーションハブ長の渡辺重哉氏は日経 xTECH主催のメンバー座談会で次のように語っています。「世界の航空機業界は、『2005年比で2050年のCO2排出量を半減』という目標を掲げている。その達成に電動化は不可欠だと考えている。(中略)もっと先の未来には、『電動化されていなければ航空機にあらず』とみなされ、環境負荷の観点から(電動化されていない航空機は)飛行できなくなるかもしれない」(同氏)。2050年の空は電動航空機ばかりが飛び交っている可能性があるわけです。

 電力業界では、2018年7月に閣議決定された「第5次エネルギー基本計画」にて、2030年、2050年に向けた方針を示しています。例えば、再生可能エネルギー事業は2030年に向けて主力電源化への布石として低コスト化、系統制約の克服、火力調整力の確保を進め、2050年に経済的に自立化し脱炭素化した「主力電源化」を目指すと明確に定義づけられました。再生可能エネルギーと言えば太陽光発電ですが、水素・蓄電などによる脱炭化への挑戦も記されています。“来る来る”と言われていた「水素社会」あるいは「蓄電池社会」が当たり前になっているかもしれません。

出典:日経エレクトロニクス、2019年5月号 p.7
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