6GやBeyond 5Gという言葉をちらほらと目にするようになりました。実装モードに移行しつつある5Gの「その先」を意味するキーワードです。5Gの研究・開発に携わってきた技術者の目は、既に10年先の2030年代の未来社会を向いています。

 明確な定義はまだなさそうですが、総務省の「電波有効利用成長戦略懇談会 成長戦略ワーキンググループの検討状況」という資料には「5Gを超える大容量と多様な性能(速度、遅延、信頼性)要求へ柔軟に対応する通信環境への進化」とあります。同会のヒアリング資料には、大まかな性能目標も見つかります。「T(テラ)Hz~可視光通信」「伝送容量:100Gbps~」「遅延:1msec未満(ほぼゼロ遅延)」「接続密度:107台/km2~」と、5Gの1桁上のレベルです。さらに、多種多様な要求に応えるため、「複数の周波数帯を活用して高機能化を実現(周波数共用が当たり前の時代へ)」という見解もありました。

 開発も日米欧で始まっています。より高い周波数帯を使う試みとしてNTTドコモは2018年11月、150GHz帯までの周波数で電波伝搬実験を実施したと発表しました。テラビット級移動通信システムの実現などを目指すとしています。周波数共有については、米国のDARPA(国防高等研究計画局)が「Spectrum Collaboration Challenge(SC2)」という技術コンテストを実施中です。今月末に、スペインのバルセロナで開催される「MWC19 Barcelona」では、応募技術の表彰と5Gの未来に関するパネルディスカッションが予定されています。DARPAではこのほか、無線とセンサー技術の研究拠点「ComSenTer(Center for Converged TeraHertz Communications and Sensing)」にて、米ニューヨーク大学などと共同研究を進めています。欧州では、フィンランドのオウル大学がベル研などと共に6Gの研究開発に着手しています。

 日経エレクトロニクスでは今後、こうした6GやBeyond 5Gといった将来動向にも注目し、5Gでは部品や実装まで踏み込んで最新技術を紹介していく予定です。どうぞご期待ください。

出典:日経エレクトロニクス、2019年3月号 p.9
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