創業100周年を迎えたパナソニックの記念イベントに足を運びました。お目当ては同社が思い描くこれからの社会や生活を見せるというふれこみの総合展示。「A Better Life, A Better World」と銘打った会場には、確かに「これは便利」と感じたものが少なくありませんでした。その一方で、「いよいよお父さんが要らなくなるな」とも思いました。

 もう4~5年ほど前のことになりますが、英University of OxfordのCarl Benedikt Frey氏とMichael A. Osborne氏が「雇用の未来-コンピューター化によって仕事は失われるのか」を発表して話題になりました。折しも当時、2020年の日本の社会を占う特集の取材を進めており、その一環として「2020年に消滅するものは何か」を聞き回っていました。さまざまな意見が集まりましたが、中でも飛び切りユニークな回答が「お父さん」でした。理由は「昔のお父さんは何でもよく知っていて、分からないことを聞くと熱心に教えてくれる頼もしい存在だった。それがスマートフォンやタブレット端末が普及したことで、『物知り』という存在価値を失いつつある」というものです。実際、今回の展示でも、家人それぞれの好みに合わせて電子レンジの調理モードを自動調整するデモを見ていると、「機器のマニュアルを完璧に読み込んで、あらゆる機能に精通している物知りのお父さん」の助けはもう必要なさそうです。

 ほかにも、外出時に後ろをついてきてくれる荷物運びロボットのデモを見ると、「荷物を持ってくれる力持ちのお父さん」はいなくても大丈夫そうだし、自動運転の4人乗りEVコミューターが街のあちこちに出かけていくデモをながめていると、「行きたいところにクルマで連れて行ってくれる運転上手なお父さん」の出番はないと思えてしまいます。

 ただでさえ、希薄な存在になりかねないお父さんがこれからも頼れる存在であり続けるためには、家族の嗜好やライフスタイルの変化に応じて自身を「アップデート」していくしかないでしょう。そのためのモノやコトのサポートも大いに期待したいところです。

出典:日経エレクトロニクス、2018年12月号 p.9
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