経営トップや技術トップに素朴な疑問をぶつけることのできる場として、単独インタビューや記者懇談会などの機会を活用しています。このところ、定番になっている質問に「御社は何の会社ですか?」があります。そして最近は、この問いかけが業界全体の問題意識になりつつあるようです。

 パナソニックの津賀社長は今年1月の米国の展示会でこの質問を受け、「自問自答している」と答えました(Innovator「挑戦者として新領域へ、理系と文系のクロスは最高」)。実はこれに先立つ昨年12月、同社の記者懇談会で同じ問いを投げかけていました。その時は、「(かつてのように)家電メーカーと言えれば分かりやすいが…」とためらいがちな様子だったことを記憶しています。

 これから「御社は何の会社ですか?」を聞いてみたい経営トップが2人います。1人はソニーの吉田新社長です。先日の経営戦略発表会では「テクノロジーはエレクトロニクスだけにとどまらず、エンターテインメントや金融にもテクノロジーなくしては考えられない状況になってきた」と話していました。吉田社長の下、ソニーはどんな会社になろうとしているのか。興味は尽きません。

 もう1人がKDDIの高橋新社長です。就任記者会見では自身が副社長時代から育ててきているライフデザイン事業の方針を次々と披露しました。一方で通信サービス単体の新戦略は語られず、いわゆる「土管屋」にはなり下がりたくないという思いが伝わってきました。同社の今後に注目しています。

 この3社に共通するのは、祖業である「エレクトロニクス」「通信」ともに、市場の成熟に直面している点です。3社は今、次なる成長のためのトランスフォーメーションの真っただ中にいるはずです。だからこそ「何の会社ですか?」と問われても、一言では回答できない。それはむしろ真っ当なことでしょう。もちろんこれは、3社に限った話ではありません。日経エレクトロニクスは今後もこの問いを投げかけつつ、さまざまな企業のトランスフォーメーションを追いかけていきます。

出典:日経エレクトロニクス、2018年7月号 p.9
記事は執筆時の情報に基づいており、現在では異なる場合があります。