まさに有言実行──。IIJ(インターネットイニシアティブ)はこの3月、かねてから構築を進めていたフルMVNOのプラットフォームが完成し、サービスの提供を開始しました。2016年にその構想を発表したとき、「2017年度内にサービス開始」をうたっていましたから、“公約”をきちんと守ったことになります。

 MVNOとは、基地局などの無線通信インフラを所有する移動体通信事業者(MNO)から設備を借り受けて運用する「仮想」の移動体通信事業者です。MVNOは総務省の後押しもあり、事業者数は2017年12月末時点で817社まで拡大しました。もっとも、契約数が3万件以上の事業者は59社と全体の1割にも届きません。一般ユーザーを対象に「格安スマホ」を提供するMVNOの多くは、苦しい戦いを強いられています。価格以外の差別化要因が見つからないからです。しかも既存の携帯電話事業者が対抗策として格安プランを投入したことから、ユーザーの奪い合いが激化し、MVNO新規加入者の伸びには陰りもみられます。

 こうした状況から脱するために、IIJはフルMVNOを選びました。ではフルMVNOになると何が変わるのか。「平たく言うと、基地局以外はすべてコントロールできる」(IIJ MVNO事業部長の矢吹重雄氏)となります。例えば、スマホなど端末の画面(ピクト)にも事業者名として「IIJ」を表示させることができるので、ユーザーからも「自分が使っている事業者はIIJ」と見えます。「仮想」でありながら独立した事業者、いわば究極のMVNOとなるわけです。

 「フル」はいろいろな意味を込めて使われますが、IIJの場合は「MVNOという新しい事業者スタイルを徹底して追求する」ということでしょう。一方、同じくMVNOの楽天は自らがMNOになるという既存のスタイルを選びました。

 さて日経エレクトロニクスはどうかというと、フル電動化や全固体電池といった「フル」へのこだわりを持ち続け、これからも新たなムーブメントを徹底して追い求めて参ります。

出典:日経エレクトロニクス、2018年5月号 p.7
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