配車最大手の米Uber Technologies(ウーバー)が「MaaS(Mobility as a Service)の総合企業」へとまい進している。年次イベント「Uber Elevate Summit 2019」(3rd Annual Elevate Summit、2019年6月11~12日、米ワシントン)では、空のライドシェア「Uber Air」から電動キックボード、完全自動運転の量産車まで、同社が取り組む事業を幅広く紹介した。

 米Uber Technologies(ウーバー)による招待制の年次イベント「Uber Elevate Summit」は、これまで2017年4月に米ダラス、2018年5月に米国ロサンゼルスで開催し、空のライドシェア「Uber Air」をはじめとするプロジェクトの進捗状況を披露してきた。両市はいずれも、2020年に同社がUber Airの実証試験を実施する都市である。

 ところが3回目となる今回は、実証試験とは直接関係のない米ワシントンで開催した(図1)。Uber Airを開始するためには、行政機関や規制当局などと協調する必要があり、「政治の中心地であるワシントンで開催したのだろう」(複数の参加者)。実際、米連邦航空局(FAA)のキーパーソンのほか、米運輸長官(Secretary of Transportation)のElaine Chao(イレーン・チャオ)氏が登壇し、空のライドシェアという新たなモビリティー(移動手段)に期待を寄せた。

(a)会場風景
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(b)Uber CEOのDara Khosrowshahi氏
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(c)米運輸長官のElaine Chao氏
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図1 米ワシントンで開催された「Uber Elevate Summit」
(a)はワシントンの会場風景。(b)は初日のレセプションパーティーと、2日目の基調講演に登壇したCEOのDara Khosrowshahi(ダラ・コスロシャヒ)氏。(c)は米運輸長官(Secretary of Transportation)のElaine Chao(イレーン・チャオ)氏。昨年のElevate Summitではビデオメッセージの“登場”だった。(撮影:シリコンバレー支局 以下同)

 Uberが空の移動サービスに注力するのは、渋滞問題にあえぐ都市部において、早くて安い新たなモビリティーを提供できる可能性を秘めるからにほかならない。この点に、行政側も関心を高めている。同社の試算によれば、電動の垂直離着陸(eVTOL)機を用いた移動サービスであれば、自動車に比べて移動時間を数分の1にできるという。内燃機関を用いる従来のヘリコプターに比べて、eVTOL機なら運用コストを大幅に削減できると見込まれている。普及すればいずれ配車サービスよりも安価にできる移動区間も出てくるとみている。

米国外で初となるオーストラリア

 今回のElevate Summitのトピックは大きく2つある。1つは、米国外で初めてUber Airの実証試験を実施する都市がオーストラリアのメルボルン注1)に決まったこと(図2)。ほかの2都市と同様、2020年に実証試験を開始する予定。2023年の本サービス開始を目指しているという。

注1)メルボルンに決定するまで、Uberはブラジルやフランス、インド、日本の5カ国を候補に挙げていた。中でも同社が期待を寄せていたのが「東京」だとされる。実際、Uber Airに関するイベントを米国外で初めて開催したのは東京だった。2018年8月に開催した「Uber Elevate | Asia Pacific Expo」である。同イベントには東京都知事の小池百合子氏が登壇した。それでも東京は選ばれなかった。「墜落などのリスクを勘案すると、東京としてYesと言えなかったようだ」(Uber Airの事情に詳しい複数の業界関係者)。ただ、今回は選ばれなかったものの、「東京で実証試験を行うことはあきらめていない」(Uber関係者)という。

図2 第3の実証試験都市はオーストラリアのメルボルン
実証試験都市の第1は米ダラス、第2は米ロサンゼルスである。(出所:Uberのスライド)
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 新たな実証試験の場に選ばれたオーストラリアは、Uberにとって配車サービスの利用者を順調に伸ばしている市場である。ハイヤー配車サービス「UberBLACK」を2012年11月に、ライドシェアサービス「UberX」を2014年3月にそれぞれ開始。右肩上がりで利用者が増えている。2018年6月には複数のユーザーで利用する「Express Pool」を始め、さらに利用者を増やしている。現在、オーストラリアの37都市でサービスを展開し、月間380万人が利用しているという。こうした従来の配車サービスとUber Airを組み合わせて、さらにUberのサービス利用者を増やす考えだ。

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