少子高齢化による人材不足が大きな課題になっている。ところが、日本の電子産業やIT産業に注目すれば、なぜか多くの企業がリストラを進めている。その電子産業やIT産業でも、特定の技術や市場の知見やスキルを持つ人材は引く手あまたの状態。例えば、自動運転や人工知能(AI)関連のエンジニア、合理的・効果的・効率的なデータの取り扱いに長けたデータサイエンティスト、電気自動車(EV)や再生可能エネルギーに向けたパワーエレクトロニクス関連などの技術者や専門家だ。このように、職のミスマッチが起きている。

 今回のテクノ大喜利では、技術革新が急激に進む事業環境の中で、日本企業はどのように人材を活用することで競争力を維持・向上させ、技術者個人はより活躍できる場を得ることができるのか議論した(表1)。

表1 「人余りと人不足に苦悩するニッポン」をテーマにしたテクノ大喜利の回答
[画像のクリックで拡大表示]

人材流動性の活発化は望めない

 時代の変化に合わせて、企業の枠を超えて人材を自由に再配置できれば、大きなビジネス環境の変化にも対応できるだろう。しかし、アーサー・D・リトルの三ツ谷翔太氏は、「個々の技術者の自発的な移動で、技術の変化に追随することには限界がある。企業レベルや産業レベルの課題として、日本の社会全体で対応していく必要があるだろう。企業レベルでは、人材獲得や活躍できる場作りを目的とした企業買収や従来事業とは異なる技術を扱う新会社の設立を視野に入れて検討すべきではないか。既に海外では、人材獲得のためのAIベンチャー買収は大きな動きになっている。また、産業レベルでは、高度な人材の育成や人材流動を後押しするプラットフォームの役割を果たす業態を育てていくことも重要だ」とした。

 三菱総合研究所の山藤昌志氏は、「従来の雇用システムの下で企業内だけで通用する特殊なスキルを蓄積してきた技術者にとって、いきなり徒手空拳で外部労働市場に放り出されてはたまらない。自発的なキャリア形成を行うには相応の武器が必要。それがないままでは、多少の報酬や働き甲斐を犠牲にしようと、元の組織にとどまるのが個人にとって合理的な選択だ」とした。そして同氏は、本当に日本での人材流動性を高めるのなら、「まず、どの業界で、どのような知識やスキル、経験を持つ人材が求められるのかを見える化した『職の情報インフラ』を整備する必要があるだろう。これがないと、社員は適切なキャリア形成の戦略を考えようがない」とした。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経エレクトロニクス」定期購読者もログインしてお読みいただけます。今なら有料会員(月額プラン)が2020年1月末まで無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら