米NVIDIAは3月18~21日に米国サンノゼで開催した年次カンファレンス「GPU Technology Conference(GTC) 2019」に合わせて、ロボット関連の施策を大量に発表した。新しいロボット用SoCの発表こそなかったものの、小型ロボット用に99米ドルからという価格で販売するSoCボードの「Jetson Nano」や米Amazon Web Services(AWS)とのロボット分野での提携を発表するなど、同社のロボットプラットフォーム「Jetson」を拡張させている。

 NVIDIAのCEOのJen-Hsun Huang氏がGTC 2019の基調講演で発表したJetson Nano(図1(a))は、「Tegra X1」をベースにした組み込み用ボード型コンピュータである。2019年3月に発売した開発キットの価格は99米ドル、同年6月に発売する製品版の価格は129米ドルとなる。これによりJetsonブランドのデバイスは、自動運転車を対象とした「Jetson AGX Xavier」、工場用ロボットやドローンなどを対象にした「Jetson TX2」、そして小型ロボット用のJetson Nanoの3種類となった。

図1 NVIDIAのイベントでロボットが相次ぎ登場
(a) 「Jetson Nano」を発表するNVIDIAのCEOのHuang氏。(b)Jetson Nano搭載ロボットのリファレンスデザイン「JetBot」。(c)Postmatesの配達ロボット「Serve」。(d)Sarcosの検査ロボッ ト「Guardian S」。
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 Jetson Nanoの開発キットは、「CUDA」コアを128個搭載する「Maxwell」アーキテクチャーのGPUと「Arm Cortex-A57」のCPUからなるSoC、4Gバイトのメモリー、16Gバイトのフラッシュメモリ、microSDカードスロット、HDMIポート、USBポート、Ethernetポートなどを搭載する。浮動小数点演算性能は472GFLOPSで、ボード1台で画像認識機能などを備えた小型ロボットを実現できるようになるとしている。

 同社は2015年11月に、同じTegra X1ベースのSoCを搭載したボード型コンピュータの「Jetson TX1」を発売している。価格は599米ドル(その後値下げして499米ドル)だった。サイズもJetson TX1の170mm×170mmに対して、Jetson Nanoは100mm×80mmに小型化した。

参照設計をオープンソースに

 同時にNVIDIAはJetson Nanoを使った小型ロボットのリファレンスデザイン(参照設計)をオープンソースとして公開した(図1(b))。安価かつ小型のボードを提供するのに加えて、ロボットの参照設計を無償で提供することによって、小型ロボットの市場育成を図る考えだ。

 ロボット用ソフトウエアの開発や運用を支援する取り組みも発表している。同社は2018年6月にJetson向けのソフトウエア開発キット「Isaac SDK」を発表しているが、今回これを2019年4月から一般提供するとした。

 Isaac SDKは、ロボットアプリケーション開発用のフレームワーク「Isaac Robot Engine」、障害物回避やLIDARを使った自己位置推定、経路計画、SLAMなどのソフトウエアモジュール「Isaac GEM」、ロボットをテストするためのシミュレーション環境「Isaac Sim」で構成する。Isaac Simが提供するシミュレーション環境はオフィスルームのような屋内環境だけだが、配送ロボットによる「ラスト・マイル・ナビゲーション」などをシミュレーションできる屋外環境も提供する計画という。

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