各国で5G(第5世代移動通信システム)の商用サービスが始まる2019年は、「5G元年」ともいわれる。しかし、現在の5Gはモバイル用途を想定したもの。今後は、5Gならではの用途として期待される産業向けの技術開発が加速する。同年4月1~5日にドイツで開催された展示会「Hannover Messe 2019」で最新の状況が見えてきた。

 5G(第5世代移動通信システム)の技術開発の主戦場が、モバイル用途に加えて産業用途に拡大しつつある(図1)。モバイル向けに続き、移動通信システムの新たな用途として期待される産業向けの技術開発にも各社が本腰を入れ始めたのだ。

図1 5G技術開発の主戦場が拡大
国際電気通信連合無線通信部門(ITU-R)が2015年9月に策定した「IMT(International Mobile Telecommunications)ビジョン勧告(M.2083)」において、5Gの利用シナリオとして、「超高速大容量(eMBB:enhanced Mobile Broadband)」「多数同時接続(mMTC:massive Machine Type Communication)」「超高信頼低遅延(URLLC: Ultra-Reliable and Low Latency Communication)」の3つが示された。そのうちモバイル用途の延長であるeMBBは標準化が完了し、実用化の段階に入る。技術開発の主戦場は、産業用途の本丸であるmMTCやURLLCに広がる。(ITU-R、ドイツ電気・電子工業連盟、Siemens、Huaweiなどの資料を基に本誌が作成)
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 2019年4月1~5日にドイツ・ハノーバーで開催された「Hannover Messe 2019」では、そのような動きが顕著に表れていた。Hannover Messeといえば、近年は同国の産業政策「Industrie 4.0(インダストリー4.0)」を発信する場と位置付けられており、ロボットなどの産業機器とその制御技術に関する展示が中心である。今回は、5Gが主役に見えるほどの存在感だった。

 特筆すべき点は、5Gに特化したスペース「5G Arena」の新設だ。製造業での5G活用を推進する団体の5G-ACIA(5G Alliance for Connected Industries and Automation)が主体となって企画したもので、会員企業が展示や講演を通じて5Gの利点を訴求していた注1)。前回までは各社が自社ブースで個別に5G関連の技術やデモを展示していたが、今回は来場者が各社の展示をまとめて見られる場をHannover Messeの主催者が用意した形である。

注1)5G-ACIAは、2018年のHannover Messeの開幕日(同年4月23日)にドイツ電気・電子工業連盟(ZVEI)が設立した。5Gの提供側である通信事業者や通信機器メーカーにとどまらず、活用側である自動車メーカーや機械メーカーなど多彩な顔触れで構成されている。日本企業では、ソニー、三菱電機、横河電機の3社が参加している。

 5Gの活用側ではドイツのVolkswagen(フォルクスワーゲン)やSiemens(シーメンス)、Robert Bosch(ロバート・ボッシュ)グループなど、提供側では米Qualcomm(クアルコム)やスウェーデンEricsson(エリクソン)、フィンランドNokia(ノキア)などがデモンストレーションを披露。中国のHuawei Technologies(ファーウェイ・テクノロジーズ)は、展示こそしなかったものの、5Gの研究開発トップが登壇し、今後の商用化に向けた展望や同社の持つ技術などについて語った。

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