組み込み開発者をターゲットにした国際展示会「embedded world 2019」がドイツ・ニュルンベルクで2019年2月26~28日に開催された。embedded worldは世界各国の半導体メーカーが新製品をこぞって発表する展示会で、今回も、車載向けやIoT(Internet of Things)向けで高性能なマイコンや低消費電力プロセッサーなどの注目ICが多数登場した。

 例年、embedded worldは、スペイン・バルセロナで開催のMWCと時期が重なる。会場の広さや来場者数では、MWCの方が1回りも2回りも勝る。しかし、「現場で実際に開発に携わるエンジニアが多く集まるのは、断然、embedded worldだ。エンジニア向けイベントという意味では、MWCよりも、そしてCESよりもembedded worldが我々にとって重要である」(オランダNXP SemiconductorsのSenior Vice President & General Manager, MicrocontrollersのGeoff Lees氏)。

 embedded world 2019に登場した新製品で特に目を引いたのは、車載マイコンである。現場の開発者を意識しているためだろう、遠い将来の自動運転ではなく、“明日”のADAS(Advanced Driver Assistance System)やMaaS(Mobility as a Service)を意識していることがうかがわれる製品が多い。現在よりも気が利いたADASを実現し、自動運転をベースにした本格的なMaasへの助走を支援する。このため、既存品よりも、演算性能を高めたり、リアルタイム性を向上させたりした。

仮想化向けの専用回路を集積

 車載マイコンで世界最大手のルネサス エレクトロニクスは、ハードウエアの仮想化とリアルタイム処理を両立させるための専用回路(仮想化支援機構、と呼ぶ)を開発し、その回路を集積する車載マイコン「RH850/U2A」を発表した(図1)。仮想化とリアルタイム処理を両立できるため、これまで別々のマイコンで処理していたボディー制御とシャシー制御を、新製品1つでこなせる。複数の用途の処理を一括して扱えるという意味を込めて、同社は新製品を「クロスドメインマイコン」と呼ぶ。

図1 ルネサスの新世代車載マイコン
デモの様子。日経 xTECHが撮影(以下、同)。
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 伊仏合弁STMicroelectronicsも、リアルタイム制御が可能だという車載マイコンの新製品「Stellar Automotive MCUファミリー」を発表した(図2)。この車載マイコンの最大の特徴は、フラッシュメモリーではなく、相変化メモリーを集積したことである。相変化メモリーはフラッシュメモリーと比べて、書き込み時間が短く、書き換え可能数も大きい。またデータ保持能力も高いとされている。同社によれば、相変化メモリーを集積した車載マイコンは、この製品が世界初だという。

図2 STの車載向け相変化メモリー集積マイコン
車載マイコン「Stellar Automotive MCU」を紹介するコーナー。半分は相変化メモリーの説明に充てている。
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