ドイツ・ニュルンベルクで開催された産業用制御システムの展示会「SPS IPC Drives 2018」(2018年11月27~29日)では、2つの新潮流が見られた。機器の制御を担うコントローラーの“スマホ(スマートフォン)化”と、通信ネットワークの高速化である。AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)と融合することで、制御技術の進化が加速している。

 「SPS IPC Drives」は、毎年11月下旬にドイツ・ニュルンベルクで開かれる産業用制御システムの展示会である。毎年4月ごろに開催される「Hannover Messe」が新しいコンセプトを打ち出す場となっているのに対し、SPS IPC Drivesはその具体的な実現手段を披露する場と位置付けられている。

 今回のSPS IPC Drivesでは、大きく2つの新潮流が見られた。PLC(Programmable Logic Controller)など機器を制御するコントローラーの“スマホ(スマートフォン)化"と、通信ネットワークの高速化である。

 背景にあるのは、OT(Operational Technology)と呼ばれる従来型の制御技術と、AI(人工知能)やIoT(Internet of Things)に代表されるITの融合だ。OTのデータをITで分析し、その分析結果をOTの現場で生かすといった取り組みが具体化している。今回のSPS IPC Drives 2018では、2つの新潮流に関する展示や発表が注目されていた。

コントローラーのスマホ化

 ここでいうスマホ化とは、ユーザーがアプリケーションをインターネット上のマーケットプレースで入手するようになるという意味だ。スマホの場合、OSの提供元である米Apple(アップル)や米Google(グーグル)がマーケットプレースを運営しており、ユーザーは欲しいアプリケーションを自らダウンロードする。それと同じことが、コントローラーでも起きようとしている(図1)。

図1 スマホ化するコントローラー
スマートフォン(スマホ)では、ユーザーが欲しいアプリケーションを自ら入手し、必要な機能をそろえる。これと同じことが機器の制御を担うコントローラーでも起きようとしている。
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 例えば、ドイツPhoenix Contact(フエニックス・コンタクト)は、同社のPLC製品群「PLCnext Technology」向けアプリケーションのマーケットプレース「PLCnext Store」を開設した(図2)。このマーケットプレースでは、PLC向けアプリケーションを広く募るとともに、ユーザーに販売する。

図2 PLC向けアプリケーションをインターネット上のマーケットプレースで販売
Phoenix Contactが開設したマーケットプレース「PLCnext Store」では、制御プログラムやデータ分析といったPLC向けアプリケーションを広く募り、ユーザーに販売する。(図の左上にあるPLCの写真:Phoenix Contact)
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 一般に、PLCはメーカー独自仕様のクローズドシステムであり、そのアプリケーションを開発できるのはメーカー自身や制御技術に詳しいシステムインテグレーター、ユーザーなどに限られていた。PLCnext Storeは、その門戸を広く開放しようというものだ。その狙いは、最先端のITを取り込むことにある。

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