CGやインタラクション技術などの世界最大級の国際会議「SIGGRAPH 2018」が2018年8月にカナダ・バンクーバーで開催された。同会議では、VRやARに向けた新世代のヘッドマウントディスプレー(HMD)の提案が相次いだ。いずれも現行製品に比べて、大幅な性能向上やコスト削減などを達成している。

 人間並みの広い視野角(FoV:Field of View)を誇るVR(Virtual Reality)用ヘッドマウントディスプレー(HMD)、3Dプリンターを利用した“激安"AR(Augmented Reality)グラス、現実と見まがうほどのリアルな「ライトフィールドVR」。2018年8月に開催された「SIGGRAPH 2018」(カナダ・バンクーバー)では、VR/AR分野における次世代技術の提案が相次いだ。

 中でもデモ展示で注目を集めたのが、広視野角のHMDである。視野角が広いほど、VRなら仮想空間に対して高い没入感を得やすく、ARなら現実空間に対してより広範に映像を重畳できる利点がある。

視野角200度超、視線追跡に対応

 水平方向の視野角210度と、従来品の1.5倍以上の広さを誇るVR用HMDの新製品「StarVR One」を開発したのは、台湾StarVRだ(図1)。左右それぞれ1枚、合計2枚の4.77型の有機ELパネルと、専用設計の接眼レンズによって、広い視野角を実現したとみられる。

(a)「StarVR One」の実機
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(b)従来のVR用HMDの視野角の比較
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(c)「SteamVR Tracking 2.0」に対応
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(d)「StarVR One XT」
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図1 視野角が210度と広い
台湾StarVRは、視野角が広いVR用HMD「StarVR One」を発表した(a)。水平210度と、従来のVR用HMDの1.5倍以上である(b)。VRコンテンツ配信基盤「SteamVR」を手掛けるValveの位置追跡技術「SteamVR Tracking 2.0」に対応する(c)。さらに、異なる位置追跡技術にも対応した「StarVR One XT」も用意する(d)。(図:(b)~(d)はStarVR)

 視野角が広い分、ディスプレーに表示された仮想空間をより自然に感じられる。家具などが多数配置されている仮想の狭い建物内では、特にリアリティーを覚えやすい。

 StarVR Oneは、視線追跡(アイトラッキング)機能も特徴にする(図2)。視線追跡機能は、スウェーデンTobiiのもの。視線追跡機能によって、大きく3種類の機能を実現した。第1に、左右の目の「瞳孔間距離(Interpupillary Distance:IPD)」を自動で測定する機能である。ユーザーにはIPDの広い人もいれば、狭い人もおり、その個人差で映像の見え方が変わる。これまでは、IPDの平均値を考慮して接眼レンズを設計したり、ユーザーが手作業でレンズユニットを調節したりしていた。

(a)視線追跡機能用の赤外LEDの搭載場所
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(b)注視している部分の映像に焦点を合わせる
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(c)注視部分のヒートマップを作成するデモ
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図2 視線追跡機能を搭載
StarVR Oneは視線追跡機能を備える。同機能はスウェーデンTobiiのもの。近赤外のLEDで眼球を照らし、目の角膜からの反射光を近赤外線カメラで受光して目の動きを検知する(a)。視線を追跡することで、ユーザーが注視している部分の映像に焦点を合わせて、高い解像度にし、あまり見ていない周辺視野部分の映像をぼかして自然な視界を実現できる(b)。ユーザーが仮想空間内のどの場所をよく見ているか、その注視度合いを測定する機能も実現した。測定結果を基に、注視の「ヒートマップ」を作成できる(c)。赤色などの暖色系が頻繁に見ていたところである。(図:(a)と(b)はStarVR、(c)はデモを日経エレクトロニクスが撮影したもの)

 第2に、ユーザーが注視している部分の映像に焦点を合わせ、あまり見ていない周辺視野部分の映像をぼかして自然な視界を実現する機能を備える。これにより、映像描画時の処理負荷を軽減できる。

 第3に、ユーザーが仮想空間内のどの場所をよく見ているか、その注視度合いを測定する機能である。測定結果を基に、注視の「ヒートマップ」を作成できる。この機能をマーケティングに生かすことも考えている。

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