ロームは、LDO(Low Drop Out)レギュレーターの出力コンデンサーをなくす電源技術「Nano Cap LDO」を開発した。いわゆる「コンデンサーレス」を実現できる。2020年中の製品化を目指す。

 LDOレギュレーターの出力には、コンデンサー(通常、積層セラミックコンデンサー)を挿入する。電力供給の対象になるマイコンの入力にもコンデンサーを入れる。こうしたコンデンサーの役割は、電源電圧の安定化にある。通常、電源電圧は5V±5%や3.3V±10%などの範囲に収めなければならない。マイコンにリセットが掛かってしまうからだ。

 そこで電子機器は数多くのコンデンサーを搭載する。「自動車では、1台当たり1万個を超えるケースがある」(同社)。これだけ多くのコンデンサーを使えば、コストや実装面積が大きくなる。さらに現在、コンデンサーの需給が逼迫する状況が続いており、入手が困難な状況にある。こうした背景から、コンデンサーの削減を望む電子機器メーカーは多い。

電流モード制御をLDOに適用

 今回開発したNano Cap LDOには2つの方式がある。「特性重視型」と「安心・安全型」だ(図1)。いずれもLDOレギュレーターの出力コンデンサーを無くせる。マイコンの入力コンデンサーについては、特性重視型は必要だが、容量は従来の約1/10の100nFに削減可能だ。安心・安全型はマイコンの入力コンデンサーも取り去れる。つまり、コンデンサーレスを実現できる。ロームは、2方式を用意した理由について「いきなり2つのコンデンサーを無くすことに対して、不安に思う設計者もいる。そうした設計者に向けて、段階的な提案を用意した」と説明する。

図1  LDOを2つの実現技術で刷新
特性重視型は、LDOレギュレーターの出力コンデンサーを削減できる。安心・安全型は、LDOレギュレーターの出力コンデンサーとマイコンの入力コンデンサーの両方を削減可能だ。(図:ローム)
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 2つの方式は実現技術が異なる(図2)。ただし基本的な考え方は共通する。通常、LDOレギュレーターは、出力電圧をフィードバックし、MOSFETのゲート電圧を調整して出力電圧を目標値に合わせ込む。今回は、出力電圧に加えて、出力電流も安定化制御に利用するように改良した。「出力電圧よりも出力電流の方が圧倒的に速い応答特性を実現できる」(同社)。このため、出力電圧の変動を抑えながら、コンデンサーレスもしくはコンデンサーの容量削減が実現可能になった。

図2  開発した2つの方式は別の実現回路を採用
(a)は特性重視型、(b)は安心・安全型の回路構成。(図:ローム)
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 特性重視型と安心・安全型の最大の違いは、出力電流情報の利用方法にある。特性重視型は、出力電圧と出力電流の両方をフィードバックして出力電圧を安定化する制御方式を採用する。言い換えれば、DC-DCコンバーターの電流モード制御方式をLDOレギュレーターに適用したと表現できる。

 出力電流情報は、急激な出力電圧変動の抑え込みに役立つ。出力電流が多くなればMOSFETを弱くオンし、少なければ強くオンするというフィードバック制御をかける。こうして出力電圧が急激に上昇したり、低下したりして電源電圧範囲を外れることを防ぐ。出力電圧の情報は、若干時間が遅れるものの、出力電圧を目標値に高い精度で合わせ込むフィードバック制御に使う。

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