トヨタ自動車の元理事で現在は技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)の常務理事を務める石黒恭生氏
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 トヨタ自動車は、電解質が固体のLiイオン2次電池である「全固体電池」を8年前から開発し、最近になって当初の目標値を達成。同社の1人乗り電気自動車(EV)「COMS」に実装して、走行試験に成功した。

 同社元理事で燃料電池車や全固体電池の開発を手掛け、現在は技術研究組合リチウムイオン電池材料評価研究センター(LIBTEC)の常務理事を務める石黒恭生氏が2018年10月の講演会で、開発の経緯と共に明らかにした。

当初は充放電数回で出力0に

 石黒氏によると、開発開始当初、試作した全固体電池は充放電1サイクル目まではセルの体積エネルギー密度が100Wh/L超だったが、充放電を数サイクル繰り返すと体積エネルギー密度は数分の1、出力密度は0近くまで低下するなど前途多難だったとする(図1)。

図1 8年かけて開発目標を達成
トヨタの全固体電池開発の経緯を示した。当初は、セルを作製してもすぐに性能が劣化したが、(1)正極材料をLiNbO3で被膜、(2)電解質層を約1/10に薄膜化、(3)活物質の緻密化、(4)均一分散化などで徐々に性能が向上。約8年かけて当初の開発目標値である、体積エネルギー密度400Wh/L、出力密度2.5kW/Lを超える性能を達成した。(図:石黒氏の講演資料を基に本誌作成)
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 そこでトヨタは、セルの性能が出ない要因を徹底的に洗い出した。(1)正極活物質と固体電解質の間の界面に抵抗値が高い抵抗層が形成されてしまうこと、(2)固体電解質層の膜厚が厚いこと、(3)正負極の活物質と固体電解質材料の混合領域で、活物質が凝集して均一性が大きく低下すること、(4)活物質材料間に空隙ができること、の大きく4点の課題が見つかったという。

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