微細加工技術を得意とするベンチャー企業のワイヤードは、Li(リチウム)イオン2次電池の電極材にレーザーで多数の微細な穴を連続的に開ける技術を開発した(図1)。穴開け加工した電極材を用いることで、次世代Liイオン2次電池の高容量化に欠かせないとされる、Liイオンの「プリドープ」が容易に実現できる。

図1 電極にレーザー加工で穴開け
Si負極をステンレス鋼材に塗布した電極にレーザー加工で穴を開けた。電極の裏からライトを当てると、光が透過していることが分かる。(写真:ワイヤード)
[画像のクリックで拡大表示]

高容量化のネックを解消

 プリドープは、充放電に関わるLiイオンが電池の使用に伴って減少してしまう課題の解決を目指した技術である。この課題が解決されなければ、せっかく高容量化が可能な電極材料を組み合わせたとしても、そのポテンシャルに見合う容量を得られなくなる。

 Liイオン電池において充放電に関わるLiイオンが減少するのは、初期充電時にLiとの化合物が電極上などで生成されることによる。化合物に取り込まれたLiは、充放電してもイオン化しなくなるため容量が減少してしまう。すなわち不可逆容量が大きくなる。

 今回のプリドープは、Liイオンの減少を見込んで、Liイオンの供給源となるLi箔をあらかじめセル内に置いておく。Li箔は負極とセル外部で短絡させて、Liイオンがセル内で移動できるようにする(図2)。

図2 レーザー加工した電極を用いたプリドープ可能なセル構造
プリドープすることでセル内に不足するLiを供給でき、高容量化が可能になる。(図:ワイヤード)
[画像のクリックで拡大表示]

 プリドープの実現によって、これまで高容量ながら実用に至っていなかった電極材の利用を拡大できる可能性がある。不可逆容量の大きな材料や、Li化合物ではない高容量の正極材料などである。

この先は有料会員の登録が必要です。「日経エレクトロニクス」定期購読者もログインしてお読みいただけます。有料会員(月額プラン)は初月無料!

日経 xTECHには有料記事(有料会員向けまたは定期購読者向け)、無料記事(登録会員向け)、フリー記事(誰でも閲覧可能)があります。有料記事でも、登録会員向け配信期間は登録会員への登録が必要な場合があります。有料会員と登録会員に関するFAQはこちら