セルのIV曲線と波長ごとの利用率(図:南開大学)
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 中国天津市にある南開大学(Nankai University) 化学学院 教授の陳永勝氏などから成る研究グループ、北京市の中国科学院、および広州市の華南理工大学は、変換効率が17.3%と高い有機薄膜太陽電池(Organic PhotoVoltaics:OPV)を開発したとする論文を、学術誌「Science」に共同発表した。17.3%は、一般的な多結晶Si型太陽電池の変換効率の値を上回り、次世代太陽電池の有力候補に再び名乗りを上げた格好だ。論文では、「変換効率25%以上も十分達成可能で、他の太陽電池技術と比べても高い競争力を持つ」とする。

5年の停滞を経て競争に復帰

 OPVは2000年半ばまで変換効率が5%前後と低かった。それが、2008年ごろから急激に向上し、2011年には変換効率が11%台に乗った(図1)。ところが、その後、5年近くも芳しい成果が出なかった。事態打開を狙ってか、住友化学などがタンデム型OPVを試作しているが、変換効率は10%台にとどまった。結果、研究者や企業の多くが、当時脚光を浴び始めていたペロブスカイト太陽電池の研究にくら替えした経緯がある。

図1 5年の停滞の後、急激に性能が向上
有機薄膜太陽電池の変換効率の推移。単接合型とタンデム型が共に伸びているが、今回は特にタンデム型の向上が著しい。(写真:University of Michigan)
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 ただし、OPVの研究を続ける研究者もおり、変換効率は2016年ごろから再び向上し始めた。

 特に、2016年12月に南開大学 化学学院の研究チームがタンデム型OPVで変換効率12.5%と、当時のOPVとしては非常に高い値を得たのが皮切りとなった。その後、2017年5月には中国科学院などがタンデム型OPVで約14%、2018年4月には米ミシガン大学(University of Michigan)の研究者がやはりタンデム型OPVで変換効率15%を達成するなど、わずかの間に変換効率が急激に向上した。

 ミシガン大学の開発例では、積層する前の各セルの変換効率は10~11%。これらを積層した上でセル表面に反射防止層を設けたことで15%を得たとする。

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