台風19号は、紀伊半島のインフラにも大きな被害を及ぼした。和歌山県串本町古座にある動鳴気(どめき)漁港では、2019年10月12日に沖合の堤防が長さ70mわたって崩れた(写真1)。係留中の小型船舶3隻が転覆する被害も出ている。

写真1■ 台風19号の高波で破損した和歌山県串本町の動鳴気(どめき)漁港の堤防。2019年10月12日午前撮影(写真:串本町)
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 高波の影響が小さくなった12日午後4時40分ごろには、動鳴気漁港から4kmほど西に離れた国道42号の串本町姫地区で、道路の陥没と土砂流出が見つかった(写真2)。

写真2■ コンクリート擁壁が破損して土砂が流出。陥没が発生した国道42号。2019年10月12日撮影(写真:国土交通省)
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 国土交通省近畿地方整備局の紀南河川国道事務所が依頼した専門家が現地を調査したところ、被災規模は延長約70m、幅約9m、高さ2~4mだった。調査に当たった和歌山工業高等専門学校の林和幸准教授は、陥没のメカニズムを次のように推測する。

 まずは、高波や高潮で擁壁の接ぎ目からアスファルト舗装下の地盤に海水が浸入。海水を含んだ土砂は緩んで、自立が難しくなる。そして、不安定になった土砂が海側にコンクリート擁壁を押し出す圧力が上昇。耐え切れなくなった擁壁が破損して土砂の流出を招き、舗装下が空洞化した後に道路が陥没した(図1)。

図1■ 海からの浸水が土砂流出をもたらす
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道路陥没に至った推定メカニズム。国土交通省の資料と取材を基に日経コンストラクションが作成
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 林准教授は、コンクリート擁壁を打ち増した部分の目地が浸水箇所になった可能性を次のように指摘する。「旧擁壁の上に新しい擁壁を積み重ねた構造となっていて、潮位が増した際に積み重ねた部分の目地から海水が染み込んだのではないか」

 同事務所は袋詰めの玉石で擁壁の破損部分を塞ぎ、その前面に大型土のうを積む応急措置を施した。

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