ドローンを使った空中写真測量で、標定点の設置だけが自動化から取り残されてきた。ところが、現場を歩き回る必要があるこの作業を省略する技術がついに現れた。その先には、ドローンがミリメートル単位の精度で構造物を計測し、出来形管理を担う未来が広がる。

 ドローンによる空中写真測量は、いまや誰でも簡単にできる。飛行ルートの決定から操縦、写真の撮影、3次元点群データの作成まで、ほぼ全てを自動で処理できるからだ。唯一、「標定点」と呼ぶプレートを現場内に置いて回る作業だけが人力を要する。

 標定点とはドローンにとっての目印だ。空撮写真から点群データを作る際に、計測した座標を補正して誤差を最小限にする役目を担う。現場内に設置し、あらかじめGNSS(衛星を使った測位システムの総称)などで正確な座標を取得しておかなければならない。

 この標定点を省けないか─。大林組は現場のさらなる省力化に向けて、標定点がなくても計測誤差を抑える手法の検証を始めた(図12)。国による空中写真測量の基準改定も見据えている。

図1■ 標定点がなくても誤差を50mm以下に抑えられると確認
大林組が新東名高速道路の建設現場でドローンを使って測量した結果の3次元データ。計測面積は約1万1000m2。実証実験は、同社が自主的に実施した。GCPとは標定点のこと(資料:大林組)
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図2■ 誤差は最大でも46mmに収まった
GNSSを使った計測座標(m) 標定点を使わずドローンで計測した座標(m) 誤差(mm)
検証点1 507.048 507.094 46
検証点2 513.959 513.976 17
計測点1 503.197 503.196 −1
計測点2 505.575 505.605 30
計測点3 511.274 511.250 −24
計測点4 516.795 516.828 33
計測点5 519.141 519.144 3
計測点6 508.058 508.093 35
標定点1 505.710 505.716 6
標定点2 512.965 512.995 30
標定点3 506.084 506.093 9
標定点4 507.745 507.752 7
精度検証のためドローンで計測した座標とGNSSで計測した座標を比較して誤差を求めた。数値は高さ方向を示すZ座標。ドローンによる土工事の出来形管理基準は、誤差が50mm以下になるよう標定点の設置を規定

 ドローンを使った従来の空中写真測量の手順は次の通りだ。ドローンはまず、標定点が写り込むように自動で飛行して現場を連写。連続する2枚の写真が8割ほど重なるように撮影間隔を調整する。

 その後、点群処理のソフトウエアが、わずかにずれた2枚の写真の共通点を割り出し、それぞれの撮影場所との位置関係から三角測量の要領で座標を算出。自動で点群を作る。それを標定点の座標で補正すると、誤差を数十センチメートル以下に抑えられる。

 一般に、ドローンに搭載したGNSSだけで点群の座標を求めた場合、数メートルの誤差が生じる。そこで国土地理院の「UAV(ドローン)を用いた公共測量マニュアル」は、標定点の設置を必須と定めている。国土交通省が2018年3月に作成したドローンによる土工事の出来形管理要領も、これを踏襲する。

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