測量や空撮など民間会社が先導してきたドローンの活用に、国土交通省が本格的に乗り出した。河川や砂防施設の点検や管理で、日常的に使うのだ。基準の作成やマニュアル整備に向けた動きも活発になっている。インフラ維持管理の新しい形を一足先に見てみよう。
2019年10月2日、埼玉県の利根川の河川敷上空に、1台のドローンが舞い立った(写真1)。やや緊張した面持ちで機体を操縦するのは、国土交通省関東地方整備局の職員。河川管理の新たな時代の幕開けだ。
国交省は河川の日常管理でドローンの活用を始める。空中から河床や堤防の形状を3次元で計測したり、河川敷の不法投棄を監視したりする。
先陣を切ったのが関東地整だ。19年2月、同地整の職員によるドローン操縦士チーム「関東リバースカイアイ」を結成した。各事務所から1人以上を選出し、19年11月からの本格運用に向けて訓練を続けている。
この日は同チームのメンバーが、関東地整が新たに購入したドローンの初フライトに臨んだ。「TDOT GREEN」という特殊なレーザースキャナーを搭載した機体だ(写真2)。
近赤外線レーザーを使った通常のスキャナーでは水面下の地形を計測できない。これに対して、近赤外線よりも波長が短いグリーンレーザーを照射するTDOT GREENは水深5~6mの河床を計測できる。ぬれた陸上の地形も同時に取得可能だ(写真3)。
このスキャナーは、国交省が17年に始めた「革新的河川管理プロジェクト」の下でパスコとアミューズワンセルフ(大阪市)が共同開発した。同省が目指す河川の「3次元管理」で中心的な役割を果たすと期待されている。
19年4月にパスコが販売を始めた量産機の最初の1台が、冒頭の機体だ。価格は1台2980万円。国交省は今後、全国の地方整備局に順次1、2台ずつ配備する。
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