メンテナンスを容易にするのは発注者の責務
(写真:日経コンストラクション)
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 全長18.2kmの首都高山手トンネル。北半分の大橋ジャンクション(JCT)──熊野町JCT間が開通したのと同じ2010年3月28日、首都高速道路会社内に1つの新しい技術基準が誕生した。「トンネル構造物漏水対策ガイドライン」だ。

 山手トンネルで首都高速は様々な漏水対策を講じた。効果の大きい手法があった半面、効果が乏しい手法や効果はあっても維持管理が難しいと後から判明した手法もあった。

 例えば、トンネル内の漏水を排水溝まで導く縦管。直径50mmの縦管は、コンクリートから析出したエフロレッセンスなどで早々に詰まってしまうトラブルが相次いだ。その教訓を踏まえ、ガイドラインでは直径75mm以上を基本にすると記した。

 「こうした知見や経験を埋もれさせてはならない。メンテナンスしやすい構造物を考えるのは、発注者の責務だ」。当時、同社東京建設局で山手トンネルの設計に6年間携わり、ガイドラインをとりまとめた蔵治賢太郎氏はこう語る。

 ガイドラインは「同僚と2人で書いた」(蔵治氏)。同社においてガイドラインは設計施工要領と異なり、全社で必ず従わなければならない基準ではない。それでも蔵治氏を突き動かしたのは、首都高速の将来の維持管理に対する危機感だ。

 今後、路線延長が増えるとともに経年劣化も進むため、仕事量は確実に増える。一方、路線延長に比例して通行料収入が増えるわけではないので、維持管理体制の拡大は難しい。「社内の全ての技術者が、損傷しにくい構造物を最初から造るという意識を持たなければ、大変なことになる」と蔵治氏は訴える。

 ガイドラインでは写真を多用して、漏水しにくい施工方法や漏水した場合の対策を詳説。漏水しやすい箇所や点検すべき箇所を記した図面など、建設部門から維持管理部門に引き継ぐべき項目もまとめた。

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