復興事業や五輪事業が追い風となり土木業界の好況が続いている。しかし、将来は市場の縮小が見込まれる。既に粗利率が頭打ちの傾向にあるなか、エネルギー事業など次の一手に踏み出す会社が増えてきた。国内の土木事業以外での収益基盤を確保する狙いがある。

 「正直、リスクが高いのではないか」──。清水建設が2019年7月に、約500億円を投じて洋上風力発電施設の施工に使う船を建造すると発表したのに対して、業界内からは驚きの声が上がった。

 22年10月の完成を目指して、SEP(Self Elevating Platform)船と呼ばれる自己昇降式の作業船を世界最大級の規模で造る計画だ。完成後は、洋上風力発電関連の事業で年間500億円程度の売り上げを見込む。

 洋上風力発電は、欧州を中心に主力電源としての地位を確立しつつある。日本では19年4月に「洋上風力新法」が施行され、これから本格的に普及が進む注目の市場だ。清水建設は、将来の市場規模が5兆円超になると試算している。

 とはいえ、陸上工事を主な売り上げとする建設会社が多額の資金を投じて海上工事に踏み出すリスクは決して低くない。地盤や気候の条件に適した設計・施工方法を検討し、新たな技術開発に取り組む必要がある。

 「今はそれなりに業績が好調だ。このタイミングに収益基盤や技術を確立しなければ、10年後には他社に置いていかれるのではないかという危機感がある。この数年が変革の時期になる」と、同社土木技術本部の樋口義弘本部長は話す。人口減少や経済規模の縮小により、国内の建設市場は長期的な拡大が見込めない。新たな成長の活路を見いだす戦略の1つが、洋上風力への参入だ。

 清水建設が19年5月に発表した30年までの長期ビジョンでは、連結の売上総利益に占める建設事業以外の割合を19年3月期の10%から35%に引き上げる目標を掲げた。19~23年度を先行投資期間に位置付け、再生可能エネルギーなどの新規事業に1300億円を投じる。

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