点検要領の改定で、「全ての部材を近接目視」と定めていた一律の規定が緩和された。国は点検の負担を軽減するため、新技術活用など様々な合理化策を打ち出している。近接目視を実施しなくても診断が可能になるモニタリング技術への期待は大きい。

 国土交通省が2019年2月に改定した橋梁やトンネルの定期点検要領のポイントは、点検方法を一律に定めず、管理者がそれぞれ工夫できるようにした部分にある。適切に健全性が診断できれば、必ずしも全ての部材を近接目視で見なくていい。いわば点検の「性能規定化」だ。

 14年の旧点検要領にあった「全ての部材に近接して」の表記を省く一方、「健全性の診断の根拠となる状態の把握は」との文言を加えた(図1)。健全性の診断に影響を及ぼさない箇所については、必ずしも近接して見なくていいことを意味する。

図1■ 近接目視以外の方法が可能に
国土交通省の「道路橋定期点検要領」から日経コンストラクションが抜粋。文字の着色は日経コンストラクション
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 さらに、近接目視と同等に健全性を診断できれば、代わりにロボットなどの新技術を使ってもよいとした。ただ、近接目視に代わる新技術の活用に道を開いたとはいえ、多くの道路管理者は様子見といった状態だ。新技術を使った定期点検を発注する流れは、まだ確立していない。

 国交省は19年2月、新技術の活用を促進するため、点検要領の改定と併せて、「点検支援技術性能カタログ」と「新技術利用のガイドライン」を公表した(図2)。

図2■ 受発注者が性能カタログを活用
国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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新技術の性能カタログの一部
ガイドラインで示した新技術活用の流れ。国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 性能カタログは、ドローンやロボットカメラなど、点検に使える技術の性能をまとめたものだ。現在、16技術を掲載している。国管理施設の定期点検で仕様を確認した技術を対象に、安定性能や計測性能など国が定めた標準項目の値を記載した。

 一方、ガイドラインは、定期点検への新技術採用に当たって、受発注者双方が技術を確認するプロセスや留意点などをまとめている。その確認の際に、性能カタログを利用する。例えば、受注者が性能カタログから使えそうな技術を選び、発注者に採用を提案する。

 マシンコントロールなどを取り入れたICT施工では、国交省が出来形管理要領や積算要領といった基準類を順次、整備して普及させてきた。ロボットを使った点検でも、鳥取県が積算基準を作成したように、基準類の整備が欠かせない。

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