全国各地で実践されているインフラツーリズムのうち、注目度の高い4つのプランを紹介する。造られた背景も構造物の特徴も異なるインフラを、どのようにアピールするか。企画の着眼点や協力体制、事業者の思いを追った。

PLAN1 社員主導で水力ダムを“開門” 九州電力インフラツアー(宮崎県)

 全国ではやりの「ダムツーリズム」に刺激を受け、九州電力宮崎支社がインフラツアーに乗り出したのは2018年11月。大手旅行会社のJTBと共同で、1泊2日のツアーを試験的に企画した。高さ110mで日本初の大規模なアーチ式ダムである上椎葉ダムを含む、耳川水系のダムと発電所を巡るプランだ(写真1)。

 来訪者数 約50人(2018~19年度の3回のツアー)

写真1■ 宮崎県椎葉村にある上椎葉ダム。手すりを整備し、キャットウオークを歩いて巡視点検作業を体験できるようにした。2019年4月に開催したツアーで撮影(写真:九州電力)
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 降水量が全国トップクラスの宮崎県では、水力発電が盛んだ。九州電力宮崎支社は、県内に保有する32カ所の水力発電所を観光資源として生かし、発電事業をアピールするとともに、電力インフラの見学を機にダムや発電所の周辺地域に訪れる人を増やせないかと考えた。

 「自分たちが楽しみながら、わくわくする企画を打ち出せるように心掛けた」と、九州電力宮崎送配電統括センター系統計画グループの山下哲吏グループ長は話す。

 宮崎県椎葉村から日向市に向かって流れる耳川水系は、ダムの宝庫だ(図1)。登録有形文化財であるデザイン性に富んだ塚原ダムや、国内最大面積のラジアルゲートを持つ山須原ダムなど、バラエティーの豊かさが魅力的だが、一般の人を引き付けるには工夫が必要だ。専門知識がなくても興味を持ってもらうための宣伝方法やプランを、JTBの協力を得ながら検討した。

図1■ 宮崎県の耳川水系はダムの宝庫
宮崎県を流れる耳川水系には複数のダムが近接する(資料:日経コンストラクション)
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 ツアーでは、普段は入れない場所を開放して特別感を演出。キャットウオークの歩行体験や、工事中のダムの見学を取り入れた。日本ダム協会が任命する「ダムマイスター」と呼ばれる専門家の監修を受け、ダムマニアにも注目してもらえそうなポイントを盛り込んだ。こうした内容が話題を呼び、参加者の募集が始まると25人の定員はすぐに埋まった。

航空会社などの協力でパワーアップ

 11月のツアーが好評だったことを受けて、九州電力宮崎支社は19年3月からインフラツーリズムの取り組みを本格始動。19年度は、宮崎県内の電力インフラを巡るツアーを6回実施し、100人の集客を目指す。

 ダムと発電所だけでなく、新たに送配電施設も見学ルートに加えた。同社が持つインフラをフル活用して電力網を一挙に巡れるようにする。

 さらに、九州電力のやる気に当てられて、民間企業が続々と協力関係を結んだ(図2)。

 Point 地域企業の強みを生かして企画・集客 

図2■ 宮崎県内の民間企業が連携してツアーを企画
九州電力の資料を基に日経コンストラクションが作成
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 「ダムツアーが流行しているのは知っていた。でも、電力施設は一般人が立ち入れないイメージが強い。旅行会社から提案してもツアーは実現しにくいと思っていた」。九州電力からの連携の誘いに応じた1社である宮崎交通の大山伸二・旅行部企画課長は、こう振り返る。

 同社は、県内にバスの路線を多く持ち、旅行事業を展開する。宿泊施設や飲食店に関する知識を生かし、宮崎県ならではのイベントをツアーに盛り込んだ。

 その他、宮崎県を拠点とする航空会社のソラシドエアとも連携する。県外からの旅行客を呼び込むため、19年6月から機内でダムツアーを紹介する動画の配信を始めた(図3)。

図3■ 飛行機でダムの紹介動画を配信
ドローンで撮影したダムの映像などをソラシドエアの機内で視聴できる(資料:ソラシドエア)
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 連携する会社には、九州電力とともにツアーの内容などを検討してもらう。一般の人が興味を持つポイントや理解しにくい内容を確認する。

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