インフラを観光資源として活用する「インフラツーリズム」がブームを呼んでいる。なかでも八ツ場ダムは、年間5万人以上がツアーに参加する人気の観光スポットだ。これほど多くの人を引き付ける魅力は何なのか。ツアーに“潜入”して、成功のポイントを探る。

 群馬県長野原町の山あいに、観光スポットとして土木関係者のみならず一般の人にも名の知れた土木構造物がある。八ツ場ダムだ。

 ダムの見学者数は、2016年度の約2800人から17年度はツアー開始の影響で10倍の約2万9000人に、そして18年度は5万人を超えた。20年3月の完成を前にして人気は衰えず、来訪者は増え続けている。

 「ダム見学はマニアの趣味」という既成概念を打ち破り、多くの人を引き付ける魅力とは何か──。それを探るべく、噂のダムツアーを体験してみた。

 記者が参加したのは、「ぷらっと見学会」。思い立ったときに、気軽にダムに立ち寄れるツアーだ。予約は不要。簡単な登録だけで、専門ガイドの詳しい解説を聞きながら工事現場を無料で見られる。

 6月のとある平日、集合場所に着くと、幅広い年齢層の男女50人ほどが集まっていた(写真1)。

 来訪者数 5万人以上(2018年度)

写真1■ 予約不要の「ぷらっと見学会」には、平日でも50人前後が集まる。写真はダムの上流側から撮影(写真:日経コンストラクション)
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 「参加者は、土木に関わりのない一般の人がほとんど。100人近く集まる回もある」と、ツアーを主催する国土交通省関東地方整備局八ツ場ダム工事事務所地域振興課の光部博課長は説明する。定員は40人と決めているが、基本的には訪れた人全員に対応しているようだ。

 見学会では、ガイドと一緒にダム上流側の展望スポットに向かう。工事が終盤に差し掛かっているため、残念ながら現場には入れなかった。それでも参加者の多くが、解説に熱心に耳を傾けて感嘆の声を上げるなど、満喫していた。

 1947年のカスリーン台風をきっかけに事業計画が始まったこと、本堤の工事前に道路の付け替えや家屋の移転など様々な準備が必要なこと、コンクリートの打ち上げ方法などが、分かりやすく説明された。普段の生活でこうした知識に触れる機会はなかなかない。

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