プレキャスト・コンクリート(PCa)の採用理由で最も多いのが工期短縮だ。近年活発な橋やトンネルの更新・修繕工事では、早期の完成や通行止め期間の最小化が欠かせない。不可能と思われた工程をPCaの活用で克服しようとする現場を取材した。

首都高羽田線
延長460mを5カ月で構築
盛り土に代わる大断面PCa

 1日7万台の車が走る首都高羽田線。約10m離れて並行する上下線の隙間を縫って、幅9m、高さ3mの巨大なPCaセグメントが運ばれていく。一見すると橋の箱桁のような断面のセグメントを地上に約300基並べ、天端に床版と壁高欄を打設。最終的に上り線として供用する計画だ。PCa部材を全面的に採用し、最短工期に向けて突き進む(写真12)。

写真1■ 右が上り線の迂回路、左は既設の下り線。左奥は東京モノレールだ(写真:首都高速道路会社)
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写真2■ 埋め込み型枠を載せる前のセグメント。施工者は大林組・清水建設・三井住友建設・東亜建設工業・青木あすなろ建設・川田工業・東京鉄骨橋梁(現・日本ファブテック)・エム・エムブリッジ・宮地エンジニアリングJV(写真:首都高速道路会社)
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 首都高速道路会社は2016年、羽田線のうち京浜運河上に構築された東品川桟橋と鮫洲埋め立て部の計1.9kmの区間を造り替える更新工事に着手。1963年に開通した同区間は、路面と水面の高低差が3mしかなく、塩分や干満の影響で劣化していた。

 更新工事ではまず、既設の上り線の隣に本設とほぼ同じ規格の高架橋で迂回路を設け、車の走行ルートを確保。次に、上り線を解体して同じ場所に道路を造り直す。桟橋の跡地で1.2kmにわたって高架橋を建設し、埋め立て部では路面を3mかさ上げする。下り線も同様に造り替え、最後に迂回路を撤去する(図12)。

図1■ 盛り土をPCaセグメントに置き換える
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上り線と下り線を別々に施工した後、隣り合うPCaセグメント同士を一体化する(資料:首都高速道路会社)
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図2■ PCaセグメントは南側の460mに採用
東京五輪までに上り線を完成させ、暫定の下り線として使う(資料:首都高速道路会社)
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 最大の課題は工期だ。首都高速は2020年の東京五輪までに新たな上り線を完成させ、一時的に下り線として供用する目標を掲げた。着工からわずか4年しかない(図3)。

図3■ 東京五輪までに上り線を更新する
東京五輪の開催中は交通量が増える。更新工事を急ぎ、既設の盛り土区間の陥没事故などを防ぐ(資料:首都高速道路会社)
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