港湾地域をはじめ、海沿いで高潮の爪痕を残した台風21号。勢いはとどまることを知らず、川を遡上して街中にまで浸水被害を及ぼした。神戸市を流れる高橋川と宮川では、河口から数百メートルの場所で溢水(いっすい)。高橋川は約13ヘクタールが浸水し、最大の浸水深さは90cmに及んだ。どちらの川にも水門はなかった。

 「高潮が川を遡上して溢水する現象は、県内では最近はなかった」。

 こう話すのは、兵庫県県土整備部土木局河川整備課企画整備班の植田繁仁班長だ。台風接近に伴って潮位が急激に上昇。上流からの洪水のピークと重ならなかったことも相まって、“逆流”を引き起こした。

 高橋川水系の河川整備計画では、100年に1回程度の降雨による洪水を安全に流下させることを目標としていた。高潮に対しては、発生確率の考えはないものの、過去の災害実績などを想定して守る方針だった。

 「堤防は、洪水の整備水準をほぼクリアしていたが、海から遡上する潮に対して高さが足らなかった。高潮対策は、まさにこれから進める予定だった」と、植田班長は悔やむ。

 再発防止に向けて、高橋川では約600mにわたり、堤防を0.3~1.6mかさ上げする方針だ(図1)。課題は、周辺よりも低い位置に架かる橋のかさ上げだ。家が密集するため、橋を架け替えて道路をすり付けることは現実的ではない。

図1■ 高潮・高波遡上で約600mの区間をかさ上げ
神戸市東灘区を流れる高橋川のうち、台風21号の高潮や高波で浸水した区間。現在の堤防高と台風21号の再現水位、必要な計画堤防高を表している(資料:兵庫県)
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 「橋については、壁高欄をかさ上げして水密化するか、橋詰めに角落としを入れるかして、堤内側への水の浸入を防ぐ」(植田班長)。高橋川、宮川の両河川で、2020年の出水期までに既設堤防のかさ上げや橋梁部の対策を終える見通しだ。

 さらに、兵庫県では高橋川や宮川の二の舞にならないように、県下全ての河川堤防についても高潮遡上の恐れがないかを検証する。堤防高が不足する箇所が見つかれば、今後10年間で対策を講じていく方針だ。

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