西日本豪雨で甚大な被害を受けた愛媛県の肱川(ひじ)流域で、堤防のかさ上げや河道掘削といった河川改修が急速に進んでいる(写真1)。

写真1■ 西日本豪雨で氾濫した肱川流域で災害復旧が進む。漏水した堤防で対策工事を実施している様子(写真:国土交通省)
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 肱川の流域は、平成の間だけでも10回以上浸水した水害の常襲地帯だ。洪水を防ぐため、上流に位置する鹿野川ダムの改造や、山鳥坂ダムの新設を優先的に進めている最中に、西日本豪雨が発生した。満杯に近づいた鹿野川ダムと野村ダムでは、流入量とほぼ同量を放出する緊急放流を実施。大洲市や西予市で3000棟以上の家屋が浸水した。

 実は、肱川上流のダムは機能を最大限に発揮できていない。下流で堤防が無い区間、計画高水位に対応した高さや断面が不足する暫定堤防区間が多いためだ。

 ダムの放流量は川の流下能力を考慮して決めるので、堤防が完成して安全に流せる量が増えれば、余裕を持って水をためられる(図1)。現行の鹿野川ダムの操作では、放流量を毎秒850m3にすると東大洲地区などで暫定堤防から水があふれるが、堤防を70cmかさ上げするだけで同1150m3まで流せるようになる。

[堤防整備前]
下流の流下能力が低く、少しずつしか放流できないため、ダムに水がたまりやすい
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[操作ルールのイメージ]
流入量と放流量のグラフに囲まれた部分がダムの貯水量
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[堤防整備後]
堤防が整備されれば、放流量を増やせるので、ダムが満杯になりにくい
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図1■ 堤防が整備されれば、ダムが余裕を持って水をためられる
国土交通省の資料を基に日経コンストラクションが作成

 そこで国は、肱川を河川激甚災害対策特別緊急事業の対象地に指定。県とともに約290億円を投じ、優先して堤防を整備する。暫定堤防を3.6mかさ上げしたり、樹木を伐採したりして、100年に1度の雨に備える。「あと15年で整備する予定だった堤防を、10年前倒しで完成させる」と、国土交通省四国地方整備局大洲河川国道事務所の髙島愛典総括地域防災調整官は意気込む。

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