橋に影響を及ぼす恐れがあれば、管理敷地外から崩落した土砂も考慮して設計しなければならないのか──。2018年7月の西日本豪雨によって、高知自動車道の立川(たぢかわ)橋で起こった前代未聞の落橋が、高速道路会社をはじめ、全国の道路管理者を悩ませている(写真1)。

写真1■ 高知県大豊町を走る高知自動車道新宮インターチェンジ(IC)―大豊IC間にある立川橋が、斜面崩壊によって流失した(写真:高知県)
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 被害をおさらいすると、18年7月7日未明、西日本高速道路会社が管理する高速道路の範囲外から、土砂が崩落した。その際に流れた土砂は4万5000m3に上る。斜面との離隔が水平・垂直方向に1m程度しかなかった立川橋は、上方からの大規模な土砂の衝撃をじかに受けたと見られ、長さ約60mの上部構造が全て流失した。

 既に現場では、新しい桁の架設が完了。19年夏までに、開通する方針が決まっている。斜面災害を繰り返さないための工事が急ピッチで進んでいる(写真2)。

写真2■ 2019年4月6日時点の現場付近。流失した立川橋の架設が完了して、斜面の崩壊防止対策も並行して進む(写真:西日本高速道路会社)
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 崩れた法面では、不安定な土砂の撤去後に、法面吹き付けや法枠設置、水抜きボーリングなどを実施して斜面の安定を図る。

 さらに万が一、新たに土砂が流れ出たとしても、立川橋が二度と巻き込まれないようにするために採用したのが、「流向制御工」だ。

 「崩壊した斜面の上や横が、崩れる可能性がある。土砂が流れ出た場合、途中で向きを変えて、橋脚間をくぐり抜けるように誘導する構造物を建設している」。西日本高速道路会社四国支社建設事業部の久保井泰博調査役は、こう説明する(図1)。

図1■ 複数の対策で被害の再発を防ぐ新・立川橋
2019年4月25日に撮影。写真中央部に見える仮設の土砂よけは、開通前に撤去する。西日本高速道路会社への取材を基に日経コンストラクションが作成(写真:日経コンストラクション)
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 流向制御工には、高速道路の法面でよく見かける落石防護用の資材を使う。H形鋼を一定間隔で地盤に差し込み、それらの間には、リング状の鋼材が連なる強靭ワイヤネットを設置。アンカーで補強する。

 「壁状の構造物にすると、崩落する土砂の衝撃で壁が飛んでくる可能性がある。水は抜けてもいいが、大きな土砂がうまく流れるようにするには、H形鋼とネットの組み合わせが最適だった」(久保井調査役)。夏の開通までに完成させる予定だ。

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