建設コンサルタント業界では近年、業務提携が目立つ。ある分野でライバル同士の企業が、他分野の深耕のために、手を組むことも珍しくない。提携関係は複雑になりつつある。建コンのM&A(合併・買収)を巡る3つの潮流を見ていこう。

潮流その1:大手
海外志向で資本含みの提携が盛ん

 建設コンサルタント業界において、資本の移動を含む提携で最も目立つのが、海外の市場拡大を目指す大手だ。特にこの数年、多くの企業が海外の企業と結び付いている(図1)。

図1 ■ 海外市場拡大を視野に入れた主なM&A
2016年以降の各社の発表資料や取材を基に日経コンストラクションが作成
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 印象的なのが、2016年の日本工営による英国大手建築設計会社のBDPホールディングス買収と、17年の建設技術研究所による英国中堅コンサルタント、ウォーターマングループの買収だ。どちらも狙いは、建築を含む都市開発分野での売り上げ増だ。非ODA(政府開発援助)の拡大はかねての懸案事項。海外民間市場への門戸を開く2大買収劇となった。

 また18年の暮には、大手建設コンサルタントによる海外での業務提携ニュースが相次いだ。オリエンタルコンサルタンツグローバルが、米AECOMと業務協力に向けた合意書を締結。同社は米国の建設業界誌ENRで、17年のデザイン会社部門において売上高ランキング1位を獲得した、世界トップクラスの総合エンジニアリング企業だ。2社は第三国を中心に、インフラ整備案件で協力していく。

 パシフィックコンサルタンツも、米国を代表する建設エンジニアリング会社のパーソンズ・コーポレーションとの業務提携を発表。共同での案件受注を目指す。

コンサル分野別上位陣と組む

 一方で、パシフィックコンサルタンツとオリエンタルコンサルタンツグローバルは、ソフトバンクと連携して海外市場を狙う動きも見せる。19年2月に、コネクテッドカーで収集したデータを道路補修業務の効率化に役立てる業務提携を発表した。

 国内の建設コンサルタント同士が手を組んで海外展開を模索している例もある。建設技術研究所と建設技研インターナショナルは18年5月、東京設計事務所とそのグループ会社であるTECインターナショナルという2社間同士で、河川や上下水道分野の水インフラ事業領域の拡大に向け手を握った。

 建設技術研究所は日経コンストラクションが毎年実施する決算調査の売上高ランキングで、河川分野では不動の1位。東京設計事務所とTECインターナショナルも18年度の同ランキングでは、上水道および工業用水道の分野で売上高2位、3位と上位につける。東京設計事務所は下水道分野でも3位だった。各社の強みを生かして、市場開拓したり連携可能な範囲で業務を共同実施したりする。

 建設技術研究所グループの主な狙いは、海外だ。東京設計事務所グループの海外での実績を生かして、新興国での水ビジネスの展開を図りたいという思惑がある。

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