ICT(情報通信技術)の導入で、被災地における情報収集の在り方はがらりと変わった。危険が多い中で迅速な判断が求められる災害現場。省人化や遠隔化を可能にする技術の開発や導入に力を入れる企業や自治体が増えている。

 西日本豪雨をもたらした台風7号と梅雨前線が中部地方に接近した2018年7月8日の午前2時半。国際航業中部事業所に1本の電話が入った。「木曽川の水位が高くなってきている。ドローンを飛ばせないか」。国土交通省中部地方整備局からの災害協定に基づく協力要請だった。

 電話からわずか2時間半後、国際航業の技術者数名がそれぞれ自宅から木曽川上流河川事務所に駆け付け、夜明けと同時にドローン(小型無人機)による撮影を開始。流木が河道の一部に集中していたものの、閉塞の危険はないことを確かめ、当日の午前9時までに発注者へ空撮データを提供した(写真1、2)。

写真1■ ドローンによる災害現場の調査が一般的になったのは2014年ごろから。当時と比べれば、ドローンを操縦できる技術者の数は大幅に増えた(写真:国土地理院)
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写真2■ 豪雨の影響で多数の流木が観測された木曽川の様子。18年7月8日に国際航業がドローンで撮影(写真:国土交通省)
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発災後72時間が見せ場

 ドローンは近年で災害現場への普及が最も進んだ技術の1つだ。行方不明者の捜索や被災状況の把握に欠かせない存在になりつつある。

 最大のメリットは、その手軽さにある。機材の配備や飛行ルートの設定に大掛かりな調整が必要な航空機による撮影と異なり、ドローンは見たい場所の近くに機体を持っていって飛ばすだけで済む。危険な場所に人が近付く必要がない。撮影した映像をすぐにその場で確認できるのも、従来の調査手法にはなかった利点だ。

 国際航業では、発災後すぐに調査に乗り出せるように、社員の動き方や指示体系をまとめた災害対応マニュアルを社員で共有。発災からの時間経過に合わせて、段階的に調査の手法や範囲を変えていくタイムラインを作成してある(図1)。

図1 ■ 災害発生後の国際航業のタイムライン
国際航業への取材を基に日経コンストラクションが作成
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 発災直後は大まかな被災範囲の把握を最優先する。この段階では、航空機や衛星など広範囲の状況を一度に捉えられる調査手法を総動員して情報をかき集める。

 ドローンが活躍するのは、その次のステップだ。発災から72時間以内は、国交省や自治体との災害協定に基づく被災箇所の調査が中心となる。人命救助や道路啓開、応急復旧などを検討するための情報を集める手法として、現場ごとの状況をピンポイントで素早く把握できるドローンはうってつけというわけだ。

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